散歩の二百六十一話 会場に移動
「皆様、準備が整いました。ご案内いたします」
「「「はーい」」」
侍従が僕達の事を呼びに来たので、全員で会場に移動します。
僕はフランの、スーはホルンの手を握ります。
かちゃ。
「こちらになります。開始のお時間までお待ちくださいませ」
「「「わあ!」」」
会場となる大きな部屋は立食形式のパーティ会場になっていて、僕達は部屋の後方に作られた休憩スペースに座りました。
簡易的な食事が用意されていますが、珍しくシロ達は手をつけませんでした。
「シロもフランもホルンも、何も食べないの?」
「食べないの、我慢するんだ」
「美味しい料理一杯食べるの」
「一杯食べるの」
ジュースをちびちびと飲んでいるシロ達の決意は固そうだ。
ここは我慢できなくなって、軽食に手を出すのに一票入れましょう。
「確か、今日の参加者は限られているだよね?」
「はい、招待客はここにいる人が全てになります」
元々入賞者だけが呼ばれていて、僕とシルビアさんは辺境伯家の屋台を手伝い、スーは治療班としての功績になっています。
ここにいないアオと、既にお菓子を頬張り始めたシロ達が入賞者の扱いです。
というかシロ達よ、何も食べないと宣言してからまだ数分だぞ。
「「「お菓子は別腹!」」」
さいですか。
「後は、ここに招かれざる客がこなければ良いですが」
「奴は失格扱いだ。もしやってきたとしても、会場から追い出せば良いだけだよ」
スーが心配するのも分かるけど、もしあの魔法使いが現れても撃退するのみ。
というか、アオが間違いなくリターンマッチをするだろうね。
「それにしても、アオ遅いねえ」
「辺境伯様と、何か打ち合わせをしているのかもしれないよ」
シロはアオの事を気にしているけど、僕は大丈夫だと思うなあ。
アオはパールとフィーナさんを通して話もできるし、筆談も可能だ。
僕の予想だと、万が一の襲撃に備えての対策を話し合っているのだと思う。
でも、僕かスーも話し合いに参加させて欲しいなと思ったりして。




