散歩の二百五十九話 何故か応接室で接待
祝賀会が近づいてきたので、僕達も祝勝会用の服に着替えます。
でも、流石に僕にはドレスの着付けができないので、シロ達の着付けはスーと侍従にお任せです。
さてさて、着替え終わったら応接室に来てくれと言われたのですが、お茶が出されるだけで何も起きないですね。
シロ達も勿論スーもシルビアさんも来ないし、完全に暇になったぞ。
こんこん。
「あ、はい。どうぞ」
「失礼します」
「失礼するぞ」
ドアがノックされて僕が声をかけると、応接室の中に綺麗に着飾った男女が入ってきた。
一人は赤いドレスを着た女性で、もう一人は燕尾服を着た老人です。
おや?
この二人ってもしかして。
「武道大会で入賞された方ですね。サトーと申します」
「はい、存じ上げております」
「あの、屋台の有名店主じゃのう」
うん、女性は確か守備兵って言っていたから僕の事を知っているけど、他の人は完全に屋台の店主扱いなんですね。
「正直な所、アオさんと当たりたくありませんでした。予選なども余裕で勝ち上がっていましたので」
「そうじゃのう。接近戦も遠距離戦もできて、剣も魔法も使える。あんなスライムなど相手にしたくないのう」
「まあ、アオは特殊なスライムですから」
この二人は、アオの強さをちゃんと認めている。
本当に強い人なんだね。
「同じ位、ううん、それ以上にシュンさんとは戦いたくないですね」
「あの、僕は魔法使いで剣とかは上手く使えないんですけど」
「剣も普通の兵並みには使えておる。それ以上に、魔法の使い方が上手いのう。伊達に称号持ちなだけあるぞ」
「いやいや、僕なんてまだまだですよ」
この二人は、僕とスーのエキシビションマッチも見ていたんだ。
ほぼ魔法戦だったけど、強くなる余地は全然あるからなあ。
ガチャ。
「お兄ちゃん、着替え終わったよ!」
「どうどう?」
「綺麗?」
「だあー、ノックしてから応接室に入るの。お客さんが来ているんだから」
ここでドレスに着替えたシロ達が、いきなり部屋に入ってきた。
ここは怒らないと駄目だね。
「はい、挨拶して」
「「「こんにちわ!」」」
「はい、こんにちわ」
「ほほほ、元気じゃのう」
シロ達の事を微笑ましく見てくれて良かったけど、僕は一気に精神的に疲れてしまった。
「シュンさんは、皆のお父さん役ですね」
「本当にそうですね」
続いて、同じくドレスに着替えてきたスーとシルビアさんが応接室に入ってきました。
はあ、手のかかる子どもが三人もいて、お父さんは辛いですよ。
週末の読書のお供に、お兄ちゃんと妹ちゃんと自分探しの旅もよろしくお願いします<m(__)m>