散歩の二百五十七話 監視するもの
そして祝勝会当日になりました。
祝勝会自体は夕方から行われるので、先にシルビアさんのドレスを受け取りに行きます。
流石に辺境伯家の皆さんは忙しいので、僕達とシルビアさんのみで受け取りに行きました。
からからから。
「はうう、憂鬱です……」
「いやいや、今日は出来上がったものを着るだけですから何もないですよ」
シルビアさんは前回の試着で着せ替え人形となってしまったので、またもや何かされるのではないかという不安で一杯でした。
流石に今日は何もないと思いますよ。
という事で、僕達を乗せた馬車は辺境伯家御用達の服屋に到着しました。
「ど、どうでしょうか?」
「おー、綺麗だよ!」
「「にあってる!」」
シルビアさんは早速サイズを調整したドレスを着ているけど、とっても良く似合っています。
髪色と同じ緑色のドレスに、ネックレスを身に着けています。
こう見ると、シルビアさんはシロと同じくらいの身長なのに大人の女性って感じです。
「では、細かい所を直しますのでこちらに来てください」
「はい、わかりました」
少しホッとしたシルビアさんは、店員と共に店の奥に移動していきました。
さて、僕も少し仕事をしないと。
「スー、気が付いた?」
「はい、こちらを覗き込んでいる者がいますね」
そう、僕達が店に入った時から店の中を覗き込んでいた人がいるのだ。
暫く様子をみていたけど、ずっとこちらを監視していた。
探索を使っても敵と表示されるので、遠慮はしなくて良いでしょう。
と、ここでするりと動いたものが。
すすす。
「あ、アオが外に出ちゃった」
「という事は、直ぐに解決しますね」
アオがサッと外に出ていき、怪しい人物の側に近づいていきました。
きゃーっと小さい声が聞こえた後、直ぐに兵がやってきた。
そしてアオは、兵に宜しくと触手で敬礼のポーズをしていた。
どんな目的があって僕達を監視していたのか、きっちりと吐いてもらいましょうね。
「もう終わっちゃったの?」
「つまらなーい」
「あっという間だね」
「君達が暴れたら、大騒ぎになるでしょうが」
シロ達も不審者に気がついていたけど、アオがあっという間に倒しちゃったのでつまらなそうにしていた。
何れにせよ、祝勝会まで何があるか分からないから気をつけないといけないな。




