散歩の二百五十六話 子ども病院での治療
祝賀会まで数日あるので、僕たちは普通に冒険者として活動します。
因みに屋台の売上が凄い事になっていたらしく、ギルドに収める金額や手伝いの侍従の分け前も含めて計算の真っ最中らしいです。
という事で、今日は病院での治療を行います。
シルビアさんとフィーナさんも、僕達と一緒に行きます。
「この病院は、子どもが多く入院しています」
「ですので、できれば子どもの相手もして頂くと助かります」
「「「はーい」」」
ふむふむ、職員の話ではここは子ども病院なんだ。
前世でも子ども病院の特集をしていたのをみた事があるけど、こういう所は子どものストレスも溜まりやすいもんね。
スーとシロとホルン、僕とフラン、アオとフィーナさんとパールとシルビアさんの組み合わせになりました。
「よよ、よろしく、お願いします……」
「よろしくお願いしますわ」
フィーナさんとシルビアさんの組み合わせは、お互いに仲良くして貰いたいので一緒になって貰いました。
アオが一緒にいるので、治療は大丈夫でしょう。
という事で、治療スタートです。
「はい、どうですか?」
「いたくなーい! お姉ちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」
既に治療のプロとなっているスーとホルンは、小さな子ども相手でも笑顔で治療していきます。
ガチムチの冒険者や格闘家相手とは全く違うもんね。
スーは治療した相手に求婚されて逆にぶっ飛ばしていたから、純粋な好意は嬉しいよね。
「お兄ちゃんは料理人じゃないの?」
「お兄ちゃんは冒険者で魔法使いだよ」
「そうなんだ。お母さんがフルーツサンドイッチを買ってくれたけど、同じ人だって言っていたよ」
おう、僕はここでも料理人扱いですか。
屋台で買ってきた料理を食べてくれたのは嬉しいけど、何だか複雑な気分だぞ。
「わあ、スライムが治療をしているよ」
「とっても可愛いね」
「パールちゃんとアオちゃんですわよ」
フィーナさんとシルビアさんはどうなるかと思ったけど、子ども達はスライムが治療している方に夢中になっていました。
そのために、パールとアオを通じて子ども達とコミュニケーションを取っていました。
やっぱりスライムが治療をするのは珍しいよね。
ここで、病院の職員から僕にリクエストが。
「申し訳ないですが、子ども達にフルーツサンドイッチを振る舞ってくれませんか?」
「良いですよ。直ぐに準備をします」
「助かります。フルーツサンドイッチを食べたがった子どもが大勢いましたので」
さっき僕の事を料理人って言っていた子どもが食べていたフルーツサンドイッチを、他の子どもが食べたそうにしていたのかもしれない。
幸いにもアイテムボックスの中に材料があったので、さっそく皆で作っていきます。
「美味しい! 甘くて美味しいよ」
「スライムが料理をしている!」
子ども向けに少し甘めの味付けにすると、美味しそうに食べてくれた。
ここでも、アオが料理する風景がとっても人気でした。
「とても良い経験でしたわ」
「そうですね」
フィーナさんとシルビアさんの仲も凄く良くなりました。
今日の病院の治療は、僕達にとってもとても良い結果でしたね。




