散歩の二百五十三話 表彰式
舞台では表彰式を行うそうなので、急いで後片付けを行います。
治療対象の人もいるので、一時間後に表彰を行います。
そして表彰式の準備が整ったので、関係者が舞台に上がりました。
僕も表彰式を見る為に、舞台袖に移動します。
「では、武道大会の表彰式を行います。先ず、準優勝のお二人です。武道家ザンギエフ選手と剣士ルルシア選手は、辺境伯様の前に出て下さい」
「「「うおー!」」」
準優勝の表彰なのに、観客から大きな声援が上がっていた。
格闘家はゴリゴリの格闘家ではなく、小柄細身の柔術使いだったそうです。
因みにルルシアさんは辺境伯領の守備兵なので、守備兵の面目を保った形になりました。
剣士といいつつ、格闘も魔法も強いそうです。
「では、優勝しましたアオ選手とセコンドは辺境伯様の前に出て来て下さい」
「「「はーい」」」
「「「わー!」」」
本当はアオはシロ達の従魔扱いだけど、もはや立派な格闘家として見られていますね。
シロ達とアオは、大声援を送る観客に向けてニコニコしながら元気よく手を振っていました。
「正直な所スライムが出場するとあってかなり不安だったが、蓋をあけてみたら文句なしの強さだった。おめでとう」
「「「ありがとうございます」」」
「カッコよかったぞ!」
「強かったなあ」
「やっぱり可愛い」
シロが代表して目録を貰うと、周りから再び大きな歓声が上がりました。
アオも全身を使って、観客に向けて触手をふりふりとしていました。
「なお、今回の上位入賞者は一週間後に辺境伯家主催の晩餐会に招待されます」
おや?
その話は聞いていなかったぞ。
もしかしたら、受付の時に言われていたのかも知れない。
現にアオは平然としているし。
しかし、もっと聞いていない事がアナウンスされた。
「なお、本日討伐したオーク肉を辺境伯家が出している屋台で提供します。無料で提供しますので、順に並んで下さい」
「「「うおー! 太っ腹!」」」
おーい!
その話は全く聞いていないぞ!
しかも無料だなんて、とんでもない数のお客が押し寄せるに決まっているじゃないですか。
「ご安心を。兵も加わってくれるそうです」
「シュン様は、ひたすらオーク肉を焼いて下されば良いですので」
うん、侍従の責任者はこの話を聞いていたみたいで、屋台の方を見ると兵が中に入って肉をさばいていた。
うん?
さばいていた?
「あれ? じゃあ、僕以外に誰が肉を焼くんですか?」
さっ。
おーい、侍従の責任者が視線を逸らしたぞ。
という事は、僕一人で肉を焼くんですか?
そして閉会式後、本当に一人でひたすら肉を焼く事になっていました。
因みにアオは他の表彰者と共に辺境伯様と話をするとか何とかで、シロ達と一緒にずーっと辺境伯様の所にいました。
うん、正直な所今までの中で一番疲れた様な気がするよ。




