散歩の二百四十九話 オークキングは美味しいお肉?
「何という事でしょうか。広場に多くのオークが現れました! しかも、オークキングも四匹現れています」
辺境伯夫人様も実況を続けながら、手に剣を持っていた。
幸いにしてオーク召喚までに少し時間があったので、危険と判断されたエリアから観客の避難誘導は完了していました。
そして、手に拡声器魔道具を持った辺境伯様の言葉で一気に事態が動きました。
「因みにオーク肉は上手いから、頭部を狙ってくれよ。オークキングの肉は、特に美味だぞ」
「「「本当!」」」
辺境伯様の言葉を聞いたシロ達だけでなく、アオも何だかやる気になっていた。
そして始まったのは、美味しいお肉を食べたい者による一方的な殲滅戦です。
「お肉お肉お肉!」
「全部倒せば、お肉いっぱい!」
「お肉食べたい!」
ばきん、ぼかん、どーん。
「「「ブヒー」」」
シロ達の周辺に現れたオークは、お肉を食べたい三人によって一気に駆逐されていきます。
オーク肉が美味しいのは、異世界あるあるなんだなあ。
ひゅーん、ズドドドドーン。
スドドドーン、スドドドーン。
「「「ブヒャー」」」
「でもって、僕達も複数の魔法が撃てるからオークを一気に潰せる、っと」
昨日の戦闘を見てもらえば分かるけど、僕とスーは同時に複数の魔法を放ってます。
勿論、アオだってできます。
オークは動きが鈍いから、魔法の的としてはとても大きくて当てやすいです。
「……」
「な、何と、オークが現れてから僅か数分でオークキング以外のオークが倒れたぞ」
「いーぞ、やれやれ」
「後は、でかぶつだけだぞ!」
残りはオークキングだけになり、観客の歓声も戻ってきました。
ちらっと舞台を見ると、魔法使いは未だに何も話さないが苛立っている様にも見える。
「「「ブヒャー!」」」
「おーおー、お仲間が倒れてお怒りモードですね。でも、お前たちももうそろそろ終わりですよ」
オークキングはオークの倍以上の大きさと体格を誇っているけど、弱点は全く同じです。
わざわざ防御力が高い胸部や腹部を狙う必要はありません。
という事で、僕達は一斉にオークキングに攻撃を仕掛けます。
「先ずは動きを止めてっと」
がし。
「ブ、ブヒャ?」
僕はオークキングの動きを止めるために、バインドで拘束します。
オークキングのパワーなら、バインドなど数秒あれば引きちぎれるでしょう。
でも、僕としては数秒あれば充分です。
しゅいんしゅいん。
「これで終わりです!」
ズドーン。
どーん。
僕は圧縮した土魔法を使って、複数からオークキングの頭を潰します。
頭部を失ったオークキングは、声を上げる事もなくうつ伏せにどーんと大きな音を立てながら倒れました。




