表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
247/1078

散歩の二百四十七話 突然変貌した嫡男

 僕達も呼び出された嫡男も、全く状況が理解できずに訳が分からないでいました。

 そんな中、魔法使いがゆっくりと嫡男に近づきました。

 嫡男も、自身に近づいてくる魔法使いに気がついたみたいです。


「あっ、お前は! お前から買った剣と鎧が、全然役にたたなかったぞ!」

「……」


 あ、嫡男があの魔法使いから魔道具の剣と鎧を買ったと自爆したぞ。

 魔法使いは相変わらず何も言わないけど、溜息をつくような仕草をしていた。

 まあ、嫡男の剣技のレベルと魔法使いのレベルがダメダメだったから、魔法剣と魔法の鎧を使いこなせなかったんだよね。

 因みに辺境伯夫人様は、あえて動いていなかった。

 嫡男が暴露しているから、様子見をしている様です。


「ったく、今度こそフィーナをこの手にして辺境伯家の財産を手にしようと思ったのに。高額な剣と鎧を買ったお陰で、我が家の借金は更に増えたぞ」

「「「ブー、ブー」」」


 あーあ、今度は何で魔法剣を買ったかをバラしているぞ。

 観客からは、嫡男に向けて物凄いブーイングが浴びせられている。

 辺境伯様の話だと、取り調べでは肝心の所は喋らなかったらしいけど、今の嫡男は頭に血が上っているのかペラペラとよく喋るぞ。

 おや?

 今度は魔法使いの方から、胸元をゴソゴソしながら嫡男に近づいたぞ。


 ガバ。


「ふぐ、ふぐぐぐぐ!」

「……」

「しゃ、シャドウ選手、突然呼び出したチキン選手の口に真っ黒な瓶を突っ込んで何かを飲ませたぞ!」


 魔法使いの突然の行動に、アオも警備隊も警戒し始めた。

 一体、魔法使いは何をしたいのか?


「ごほ、ごほ。てめえ、何をして。がは!」

「……」


 嫡男は魔法使いから解放されると、膝をついて咳き込んでいた。

 しかし、突然苦しみ出した。

 魔法使いは、足元で苦しんでいる嫡男を無言で見下ろしていた。

 そして魔法使いが嫡男から少し離れた時、嫡男の体にとんでもない変化が発生した。


 メリメリメリ。


「ぐ、グオオオオオ!」

「な、なんとチキン選手の体が服を破きながら急に盛り上がって歪な事になっている。一体何が起きたんでしょうか!」

「な、何だよあれは」

「まるで獣だぞ」


 嫡男は獣みたいな咆哮を上げながら、筋肉が異常に盛り上がった歪な姿を見せていた。

 目はかっと血走りながら開いていて、息も荒く涎を垂らしていた。

 どう考えても、あの魔法使いに飲まされた謎の液体の影響だろう。

 魔法使いは、変わり果てた嫡男の姿を見てうんうんと頷いていた。

 辺境伯夫人様も観客も嫡男の姿に驚いて動けない中、ささっと動いたものが。


 ブーン、がし!


「うが? うが!」

「ここで、アオ選手が変貌したチキン選手をバインドで捕捉した! チキン選手はバインドを外そうともがくが、全く外れないぞ」

「「「アオ、頑張れ!」」」

「いいぞ、やれやれ!」

「やっちまえ!」


 アオが事前に準備していた拘束魔法で、嫡男をがっちりと拘束した。

 観客もアオが一気に動き始めたので、大きな歓声をあげていた。

 

 ピカー!


「ウガアアアア!」

「そして、白い光がチキン選手を包んでいる。これは、回復魔法か? チキン選手は、大きな叫び声をあげているぞ」


 そして、徐々に嫡男を包んでいた光が収まると、そこには元の姿に戻った嫡男の姿があった。

 もっとも嫡男は気絶しているのか、全く動かないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ