散歩の二百四十五話 武道大会最終日の朝
そして、いよいよ武道大会最終日になりました。
僕達は朝の訓練を終えて朝食を食べたら、皆で広場に向かいます。
「昨日よりも人が多いね」
「いっぱいだね」
「凄いね」
「武道大会も今日で終わるからね。皆楽しみにしているんだよ」
「「「そっかー」」」
会場となる広場は、既に多くの人で賑わっていた。
巡回部隊の数も多いし、警戒も充分に行われている様です。
そんな中、スーとホルンは救護テントに向かい、僕達は屋台に向かいます。
「さてと、仕込みを頑張りますか。今日はどれだけの人が来るのやら」
独り言を呟きながら、僕はひたすら野菜を切っていきます。
既に搬入されている野菜の量が凄いので、これは当分仕込みに追われそうだぞ。
「にいちゃんも忙しいなあ」
「ははは、これだけの人が屋台に来てくれていますから」
「繁盛していて何よりだ。ちっこいスライムも頑張れよ」
仕込みをしていると、観客から声をかけられます。
もう何日も屋台をしているので、僕の顔を覚えている人もいます。
そして、この後戦うアオに向けて声援を送る人もいて、アオも触手をふりふりとして応えていました。
と、ここで小さなお客さんが登場です。
「シロちゃん、フルーツサンド四つ下さい」
「はーい、ちょっと待っててね」
やってきたのはフィーナさんです。
兵の護衛と共に、フルーツサンドを買いに来ました。
シロもニコニコしながら接客しています。
「はーい、お待たせ。フルーツサンドイッチ四個だよ」
「ありがとー。今日は朝食をフルーツサンドにしようと思ったんだね」
「そうだったんだね。まいどありだよ」
「アオちゃんも頑張ってね」
フィーナさんは、ニコニコしながら辺境伯家の席に移動します。
きっと他の人と一緒にフルーツサンドを食べるんだろうね。
アオも、触手をふりふりしながらフィーナさんに挨拶していました。
「段々とお客さんが増えてきましたね」
「もしかしたら朝食を食べていないかもしれませんね」
シルビアさんも仕込みをしながら話しかけてくるけど、今日は朝から屋台に来ているお客が多い気がする。
こちらとしては客足が分散してくれるのは大助かりなので、このまま順調にいって貰いたい。
「それじゃ、行ってくるね」
「行ってくるよ」
「気を付けてな」
そして準決勝が始まる時間が近づき、シロとフランがアオと共に舞台に向かいます。
舞台周辺は既に多くの観客が集まっていて、試合が始まるのを今か今かと待っています。
おや?
シロとアオが舞台に上がったぞ。
「アオ選手が試合前のウォーミングアップを行います」
シュンシュンシュンシュン。
「うお、なんだなんだ」
「あのスライムもちっこい猫耳の嬢ちゃんも、すげー動きだぞ」
観客はアオとシロの動きに驚いているけど、毎朝行ってる組み手程じゃない。
アオとしても、体の動きを確認する位なのだろうな。
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