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散歩の二百二十五話 魔法使い同士の戦い

「それでは、予選二日目第一試合、始め!」

「「「わー!」」」


 審判の試合開始の合図で、観客が一斉に歓声を上げました。

 と、同時にシルビアさんが手に持っている杖に魔力を集め始めた。


「おーっと、シルビア選手、早速杖に魔力を集め始めた。対するアオ選手は、まだ様子見をしているぞ」


 シルビアさんが溜めているのは、風魔法だ。

 対するアオも、実は直ぐに魔法を放てる様に準備をしています。

 

「いきます、えーい!」


 ズドーン。


「「「うおおお!」」」

「な、何とシルビア選手の放った魔法を、アオ選手が一瞬にして迎撃した!」


 アオが、あっという間にシルビアさんの放った魔法を迎撃します。

 シルビアさんはビックリした表情を見せたけど、直ぐに真剣な表情に戻ります。


「こ、これなら!」


 しゅ、しゅ、しゅ。

 ズドン、ズドン、ズドン。


「今度は溜めなしで魔法を連発したシルビア選手でしたが、またもやアオ選手が軽々と撃ち落とした!」

「すげー、あのスライムすげーな」

「小さいねえちゃんも、かなりやるぞ」


 その後も、シルビアさんは大小の魔法を組み合わせてアオに攻撃をしかけますが、アオは全ての魔法を迎撃していきます。

 パッと見は派手な魔法の応酬で、観客は大盛り上がりです。


「結構良い線はいっていますが、基礎訓練がまだまだって感じですね」

「小人族は、魔法使いが現れる可能性が低いといいます。恐らく独力で勉強したんでしょうね」

「逆に言いますと、独力でかなり頑張っています。きっちり勉強したら、きっと良い魔法使いになりますよ」

「ふむ、なら試合が終わったらちょっと声をかけてくれないか?」

「分かりました」

「私も声をかけてみますね」


 シルビアさんは、どうやらフィーナさんのお兄さんのお眼鏡にもかなった様です。

 スーもシルビアさんに声をかけるといったので、万が一僕が声をかけられなくても大丈夫でしょう。

 そしてステージ上では、少し動きがありました。

 今までシルビアさんの魔法を迎撃していたアオが、反転攻勢に出ました。


「えっ? キャー!」


 ドーン。


「おーっと、ここで、アオ選手が反撃した! シルビア選手が三つの魔法を放ったのに対して、アオ選手は四発打ち込んできた!」

「おー、遂に来たか」

「すげー、今までのは様子見だったのか」


 シルビアさんは完全に不意をつかれて、まともにアオの放ったエアバレットをくらってしまいました。

 アオはちゃんと威力の調整をしていたけど、それでもそこそこのダメージはあります。

 そして、今度はアオが間髪入れずに三発のエアバレットを、シルビアさんめがけて放ちます。


 ズドン、ズドン、ズドン。


「く、くくっ」

「アオ選手、更に攻勢を強めます。シルビア選手は魔法障壁で防ぐので精一杯だ!」

「アオ、いけー!」

「やっちゃえ!」

「頑張れ!」


 なおもアオは威力を抑えたエアバレットを放ちます。

 シルビアさんは完全に防戦一方になってしまいました。

 もう魔法障壁を展開するだけで精一杯です。

 そして、アオがフィニッシュを仕掛けました。


 ドン。


「えっ、えっ?」

「おっと、アオ選手がわざとシルビア選手の前に魔法を放って土煙をあげた。アオ選手はどこに行ったのか?」

「おい、今のスライムの動きが見えたか?」

「い、いや、全く見えなかった。気が付いたら、スライムがいなかったぞ」


 普通の人は、アオが身体強化を使って動くと消えた様に見えるよね。

 僕とかスーなら大丈夫だけど、まして煙幕代わりの土煙を浴びたシルビアさんはアオの位置は全く分からないだろう。


 ちょんちょん。


「えっ、あ!」

「おっと、アオ選手がいつの間にかシルビア選手の背後を取っていた! 触手でシルビア選手のブーツを突っついているぞ」

「すげー、一瞬であんなところに動いていた」

「俺は、スライムという概念が崩れてしまったぞ」


 そして背後を取られてしまったシルビアさんは、もうアオにかなわないと観念した様です。


「はあ、かないませんね。降参します」

「シルビア選手がギブアップを宣言しました。勝者、アオ選手!」

「すげースライムだ!」

「小さなねえちゃんも凄かったぞ」


 観客から沢山の拍手を送られながら、アオとシルビアさんは改めて握手をしました。

 こうして、予選を勝ち抜いたアオの本戦出場が決定しました。

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