散歩の百九十七話 皆で薬草採取
目的地の森へは、防壁を出て十分もあれば着くそうです。
「他にも付いてくる人がいるんですね」
「これから向かう森は初心者向けの森になりますので」
「特に冒険者になりたての人がやってきます」
僕達と共に、主に子どもと女性がついてきました。
フィーナさんは、スーやシロ達と一緒についてきた人と仲良くお喋りしています。
十人ついてきたので、僕も女性兵と一緒に周囲の護衛をしよう。
という事で、薬草採取開始です。
「あ、これも薬草だよ。匂いが違うんだよ」
「へえ、そうなんだ。アオちゃんが沢山採ってきたのと、同じ匂いがするね」
「あー! またアオが沢山採ってきた!」
シロが張り切ってフィーナさんに薬草の特徴を教えていたけど、またもやアオが沢山の薬草を持ってきて悔しがっていた。
アオは本当に薬草集めの天才だなあ。
そして、スーはというと初心者冒険者に薬草の採り方を教えています。
「薬草は、葉の裏に細かい毛の様なものが生えています。必ず葉を採るようにしましょう。根があると、薬草は再生してまた採れますよ」
「「「はい!」」」
フランとホルンも、復習を兼ねてスーの説明を聞いています。
スーも人にものを教えるのが上手になったなあ。
僕はというと、たまに現れる動物を倒していきます。
「はっ」
「お見事ですね」
「ありがとうございます。でも、僕は魔法しか使えないので剣も使えるお姉さん達の方が凄いですよ」
護衛の女性兵のお姉さんが僕の風魔法を褒めてくれるけど、僕は魔法しか使えないからなあ。
何とかダガーは扱えるかもしれないけど、我流だしただ突き刺すだけです。
そんな事を思っていたら、お姉さんからとある提案を受けました。
「それでは、我々と共に剣の訓練は如何でしょうか?」
「宜しいのですか?」
「はい、フィーナ様にレイピアの使い方を教えておりますので、その時で良ければ」
「すみません、お願いします」
女性兵のお姉さんの申し出をありがたく受ける事にした。
プロから教えて貰った方が習得も早いし、集中して覚えよう。
「しかし、薬草の量が凄いですね」
「今までこれ程の薬草を採取した事はありません」
「薬草は匂いがしますから、シロとフランにとっては簡単にかぎ分けられます。後は、スライムのアオが薬草採取のプロなので」
開始して一時間もすれば、多くの薬草が採れます。
僕達と一緒についてきた初心者冒険者も、多くの薬草が採れたので皆笑顔です。
ここで僕は昼食の準備を行います。
「昼食、何が良い?」
「「「カレー!」」」
やはりというか、シロ達のリクエストはカレーでした。
今日はアイテムボックスにしまっている、既に作ったカレーを温めよう。
「こ、これが東の辺境伯領で流行ったというカレーですか」
「まさか、北の辺境伯領で食べられるとは」
念の為にと女性兵が毒見をしていたけど、カレーの味にびっくりしています。
「おいしー! ちょっとぴりってしているけど、とっても美味しいよ」
「シュンさんの料理はとても美味しいですよ」
「そうだよ。何でも美味しいんだよ」
「「うまうま」」
フィーナさんも初めて食べるカレーにご満悦です。
一緒についてきた冒険者も、美味しそうにカレーを食べています。
作ったものを美味しそうに食べてくれるって、気持ちが良いね。
森の中からスライムが何匹もやってきて、皆から少しずつカレーを貰っていた。
もしかしたら、カレーの匂いに釣られたのかな?
こうして、北の辺境伯領での薬草採取は無事に終了しました。