散歩の百九十六話 北の辺境伯領の冒険者ギルドへ
翌朝、僕達は早速冒険者ギルドに向かいます。
フィーナさんも一緒に行くのですが、何と歩きで行く事に。
「あの、辺境伯様、歩きで冒険者ギルドに向かって大丈夫ですか?」
「今なら大丈夫だろう。流石に武道大会が近づくと危険は増すがな」
念の為に辺境伯様にも確認したけど、今は問題ないという。
女性兵が二人ついているけど、僕も十分気をつけよう。
因みにフィーナさんは、動きやすそうなズボンスタイルでやる気満々です。
という事で、出発です。
「あら、フィーナ様。皆でお出かけですか?」
「うん、薬草を採りに行くんだ!」
「もうそろそろ辺境伯家にも赤ちゃんが産まれますね」
「そうなの。だから、お金を貯めて赤ちゃんにプレゼントを買うんだ」
うーん、フィーナさんの人気は想像以上だ。
歩いていると、あちらこちらから声がかけられている。
フィーナさんも、ニコニコと街の人に返事を返しているよ。
「フィーナ様は様々な奉仕作業に積極的に参加しておりますので、街の人に広く顔が知られております」
「フィーナ様自身もとても明るい性格をされておりますので、積極的に街の人との交流を楽しんでいるのですよ」
「おお、そうなんだ」
「「すごーいね」」
護衛についてくれている女性兵が色々と教えてくれたけど、フィーナさんは本当に街の人に愛されているんだな。
武道大会で外部の人が増えるタイミングならともかくとして、今の時期なら確かに辺境伯様の言う通りとっても安全だ。
そして、冒険者ギルドに着くと、もっと凄い事になっていた。
「お、フィーナ様。久しぶりだな」
「うん、久しぶりだね」
「今日は随分と人が多いな」
「そうなの。知り合いのお姉様と一緒なの」
屈強な冒険者達が、フィーナさんに次々と話しかけてきた。
フィーナさんも冒険者に全く怯む事なく話しかけているぞ。
「フィーナさんって、本当に皆に愛されていますね」
「おう、こんな俺らにも話しかけてくれるからな」
「俺らにとっても、可愛い存在だよ」
フィーナさんに話しかけてきた冒険者と会話するけど、屈強な男の目尻が下がりっぱなしです。
フィーナさんは辺境伯領のアイドルで間違いないな。
そんな事を思いながら、薬草採取の手続きをします。
「すみません、東の辺境伯領のギルドマスターから北の辺境伯領のギルドマスターへの手紙を預かっています」
「確かにお預かりします。あいにく本日は不在ですので、こちらから渡しておきます」
「宜しくお願いします」
受付のお姉さんにギルドマスター宛の手紙を渡したけど、今日は不在なのか。
何れにせよ、直ぐに会えそうな気がするな。
「シュンお兄ちゃん、行くよ」
「早く早く」
「早く来て」
「はいはい、今行くよ」
おっと、シロ達から声がかかってしまった。
受付も終わったし、薬草採取に行きますか。