散歩の百八十八話 お土産を買いに街へ
ちゅんちゅん。
ゆさゆさゆさ、ゆさゆさゆさ。
うん?
なんだなんだ?
誰かが僕の体を揺らしているぞ。
昨夜皆で夕食を食べた後は、食器を洗って交代でお風呂に入って、シロ達は本当にスーの所で寝てしまったはずだぞ。
ホルンの事もあるので念の為に部屋のドアに鍵をかけてなかったから、ひょっとして誰かが入ってきたのかな?
「シュンさん、起きて下さい。もう朝ですよ」
目を開けたら、目の前にスーの顔があった。
うお、流石にびっくりしたぞ。
最近はフランとホルンが僕の事を起こしていたので、まさかスーが僕の事を起こしに来るとは思わなかった。
「スーが僕の事を起こすなんて、かなり珍しいね」
「たまにはと思って、シュンさんを起こしてみました。シロちゃん達はまだ寝ていますよ」
「そっか。なら、シロ達が起きる前に朝食を作るか」
「私もお手伝いしますね」
久々に驚いたけど、スーと会話している内にだいぶ落ち着いたよ。
僕はベッドから起き上がると、スーと共に食堂に向かいます。
スーも段々と料理の腕が上がってきているから、簡単な物を任せてみようかな。
そんな事を思いながら、僕は朝食のメニューを考えていました。
「わー、いっぱいお店が並んでいるね」
「人がいっぱいだよ」
「良い匂いがするね」
「ほらほら、迷子にならない様に手を繋ぐよ」
「「「はーい」」」
朝食を食べたら、予定通り僕達は街に繰り出します。
街には朝から多くの人が繰り出していて、とっても賑わっています。
僕達は手を繋ぎながら、街道に並んでいるお店を覗いていきます。
「あ! このスプーンとっても良いよ」
「こっちのお皿も可愛いよ」
「このカップも良いね」
小物が売っているお店に寄ると、シロ達が気に入った食器を購入していった。
中々センスの良いチョイスです。
「すみません、このお皿とカップを五セット下さい」
「畏まりました」
スーも、気に入ったティーカップのセットを購入していた。
でも、何で五人分なんだろう?
「スー、何で五人分購入するの?」
「フィーナには、歳の離れた兄夫婦がいるんですよ」
そうか、北の辺境伯様ご夫妻と併せて五人分か。
良い物が買えてニコニコ顔のスーが、五人分買った理由を答えてくれた。
ならせっかくだから、僕もティースプーンを五人分用意しよう。
続いては、少し大きめの商会に向かいます。
「スー、ここでは何を買うんだい?」
「赤ちゃん向け一式を買おうかと。フィーナからの手紙には、兄夫婦に赤ちゃんが産まれると書かれてありました」
「おおー、じゃあシロも買うよ」
「「買う!」」
恐らく北の辺境伯家にとっては初孫になるんだろうな。
シロ達も赤ちゃん用の物を買っているから、僕もおしめとかを買っていこう。
他にも、珍しい果物や食材も買って道中の食料もバッチリ。
「他に買うものはある?」
「「「「お菓子!」」」」
買い忘れがないか確認をした所、スーもアオもシロ達と共に元気よく手を上げてきた。
あの、さっき四人と一匹で沢山お菓子を買い込んでいたでしょうが。
「だから、お菓子以外で」
「「「「えー」」」」
うん、これ以上買い物はしない方がいいな。
僕はブーブー言っている四人を引き連れて、食堂に向かうのだった。