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散歩の百八十四話 副支配人の末路

「悪いが、シュン達が先に入ってくれ。少し様子を見てから、私達が踏み込む」

「分かりました」


 領主様としても、あの副支配人がどんな反応をするのか確認したいのでしょう。

 僕達は、シロ達を先頭にしてもう一度コテージの管理施設に入ります。

 アオはシロの頭の上に乗って、シロ達のお守りを自認しています。


「おい、またガキが来たのかよ」

「「「ガキって言うな!」」」


 あ、先にシロ達が管理施設に入ったら副支配人がカウンターにいたのか、僕とスーが管理施設に入る前に口論が始まってしまった。

 僕とスーは後ろにいる領主様の方を振り返ったけど、領主様は笑顔のまま怒気を放っていた。

 もうこの時点で、副支配人の運命は決定したぞ。


「ガキはママのおっぱいでも飲んでいろ。まあ、あの貧乳ねーちゃんじゃダメだろうがな。ははは」


 おっと、ここで副支配人がスーの悪口まで言ってしまったぞ。

 スーも怒気を隠さなくなったぞ。

 でも、流石にメイスは出さなくていいぞ。

 ここは僕が管理施設に入らないといけない。

 そう思った僕は、スーを手で制止して管理施設に入っていった。


「おう、貧乏人。また来たのかよ」

「副支配人さん、いくら何でも子どもに放つ言葉ではないですよ」

「「「そーだそーだ!」」」

「貧乏人のくせして、なにイキがっているんだよ。俺は領主様より、ここのコテージを任されているんだ。だから、ここでは俺が一番偉いんだよ!」


 あーあ、領主様の名前も使っちゃった。

 これは完全にアウトだろう。

 副支配人は、頭に血が上って興奮状態だな。

 まあ、こっちも子ども達だけじゃなくアオも触手をふりふりして怒っているけどね。

 スタッフは副支配人の暴走で、完全にオロオロしていた。

 ここで怒り心頭のスーと領主様が、兵と共に管理施設に入ってきた。


「はあ、お前がここまで馬鹿だとは思わなかった」

「あ? え? まさか領主様? 何でコテージに?」


 領主様が鋭い眼光で副支配人を睨んでいると、段々と副支配人の顔が青ざめてきた。

 副支配人は今更になって冷静になった様だけど、もう何もかもが遅いだろうなあ。


「お前が大騒ぎしていると、屋敷に苦情が来たんだよ!」

「ヒィィィィ!」


 おお、領主様が副支配人を怒鳴りつけたぞ。

 流石の副支配人も、悲鳴を上げて大きな体を縮こませていた。


「言いたい事は沢山ある。先ほど勝手に私の名前を使って言いたい放題していたな。私もはっきりと聞いたぞ」

「うっ、そ、それは……」


 うん、これは僕もまずいと思ったよ。

 いくら何でも領主様の名前を勝手に使って、言いたい放題はやばいでしょう。

 しかもこのコテージは子爵家直営の宿だから、副支配人の言動は尚更ダメだろう。


「あと、お前が暴言を吐いていたこちらの女性だが、今は冒険者の姿をしているが実は王都の男爵令嬢だ」

「えっ、ええ!」


 あれだけスーに暴言を言っていたけど、普通の人でもありえない事だろう。

 副支配人は目を大きくさせてびっくりしていたけど、もう何もかもが遅いだろう。

 そして領主様は、もう副支配人の姿を見たくないと言った感じで兵に命令した。


「もうお前がここにいるのは耐えられない。兵よ、副支配人を捕縛して徹底的に取り調べを行うのだ」

「「「はっ!」」」

「うぅぅ……」


 副支配人は観念したのか、暴れる事なく兵により拘束されて連行されていった。

 副支配人の姿が見えなくなくと、領主様が僕達に向き直った。

 そして、僕達に頭を下げてきた。


「シュン達には本当に申し訳ない事をした。この通り謝罪する」

「領主様、顔を上げてください。もう、あの副支配人も捕縛されたので大丈夫です」

「私の事も気にかけて下さり、ありがとうございます。私ももう大丈夫ですから」

「ありがとう。そう言ってもらえると、本当に助かるよ」


 領主様からの謝罪を受けて、スーも溜飲を下げた様だ。

 しかし、本当に迷惑な副支配人だったな。

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