散歩の百八十三話 顔色を変えた領主様
おっと、男爵領の話もとても貴重だけど、本題を話さないといけないぞ。
「お話の途中申し訳ございません。本題に入っても宜しいでしょうか」
「ああ、すまんすまん。シュン達が我が家に来た理由だな。何か問題でもあったのか?」
上手く話を切り替えられたので、あの湖畔のコテージの話をしよう。
「湖畔に素敵なコテージがあるのをご存知でしょうか?」
「おお、あのコテージか。知っているも何も、我が家直営の宿だ」
えー!
あのコテージはこの子爵家直営のコテージだったのか。
じゃあ、あの副支配人の態度は非常にまずいのでは?
スーも僕と同じ気持ちだったらしく、驚いて口に手を当てていた。
すると、続きを喋ったのはシロ達だった。
「あのね、でっかい男が貧乏人は帰れって言って、シロ達を追い出したんだよ」
「フランを睨みつけたんだよ」
「とーっても悪い人だったよ」
「うん? その事は本当かい?」
「「「うん!」」」
シロ達の話を聞いた領主様が、顔色を変えてシロ達に聞き直していた。
まさか直営の宿で横暴な事が起きるなんて、思ってなかったのだろう。
「シュン、スー、この話は本当なのか?」
「はい。問題の行動を起こしていたのは副支配人でした」
「私達の話を聞く事なく、問題のある子連れだとして一方的に追い出されました」
「何という事か。我が領内で、そんな横暴はあってはならんぞ」
領主様は僕とスーの話を聞いて、思わず立ち上がってしまった。
直営店だから、そのまま領主への評判にも繋がるからなあ。
領主様は、後ろに控えている執事に声をかけた。
「直ぐに現地に向かおう。馬車と兵を用意してくれ。あと、牢屋も準備しないと」
「畏まりました。直ぐに準備します」
執事は綺麗な礼をして、部屋を出ていきました。
僕達も領主様の後をついて、応接室を出ていきます。
「たまたまというか、支配人が休暇を取っていたんだよ。だから副支配人が前に出てきたんだな」
「僕達は、タイミングが悪かったのですね」
「しかし、横暴は許されない。前からあの副支配人は、少し粗暴な点がみられたんだよ」
用意された馬車に乗りながら、僕達は領主様と共にコテージに向かいます。
僕達の感覚だと、副支配人は少しではなくだいぶ粗暴な感じがしたけどね。
そして、馬車なのであっという間にコテージに到着です。
あの副支配人がどんな対応をするか、少し見ものだな。