散歩の百八十一話 横柄な副支配人
僕達は湖畔沿いを歩きます。
湖畔にコテージがあるそうなので、今夜の宿にする予定です。
少し歩くと、目的のコテージが見えてきました。
「可愛い建物だね」
「そうね、とても良い建物ですね」
ロッジ風の建物が五棟あり、管理施設っぽい建物もあった。
シロやスーの言う通り、中々おしゃれな建物だなあ。
先ずは管理施設に行ってみよう。
「あの……」
「だめだだめだ。貧乏人はお断りだ!」
「「はっ?」」
部屋の予約をしようとカウンターに顔を出したら、話の途中で強面の男に横から遮られた。
なんだ、コイツは?
「副支配人、いきなり断るのはマズイですよ」
「ふん。訳アリの子連れで、どうせろくでもない客だろう。泊まりたかったら、領主でも連れてくるんだな」
副支配人という男は、僕達の事を完全に見下しているぞ。
応対してくれているスタッフの苦言も、全く意に介さない。
こりゃ駄目だな、一旦外に出よう。
「スタッフさんは良い人でしたが、あの副支配人は良くないですね」
「悪者だよ、悪者」
「「悪者!」」
副支配人の対応に、皆もプンプンです。
管理施設を出た瞬間に、口々にありえないと言っています。
シロ達が悪者って言っている事は、あの副支配人はろくでもない奴なんだろう。
なら、せっかくだから副支配人の言う通りにしましょう。
「スー、せっかくだから少し遅いけど子爵の所に行かない?」
「そうですね。この街の領主様はとても良いと評判ですので、今の事を話してみるのも手ですね」
いきなり領主様に会えるわけではないけど、ダメ元で行ってみよう。
という事で、三十分歩いて街中にある子爵邸に到着しました。
先ずは門兵に話しかけよう。
「すみません、私達冒険者のシュンとスーと申します」
「はい、お館様から来訪があるかと聞いております。辺境伯家の紋章のコインはありますか?」
「は、はい。こちらになります」
「確認出来ました。どうぞ、中にお入り下さい」
おや?
何故か僕達が子爵邸を訪れる事になっているぞ。
ちょっと訳がわからない中、僕達は屋敷の中に入っていき応接室に案内されました。
「お館様が来られるまで、少しお待ち下さい」
「はい」
応接室に案内されて、お茶を飲みながら一息つきます。
「うーん、門兵の言い振りだと、誰かが子爵邸に行くかもよと領主に言っていた可能性が高いですね」
「そうですね。でなければ、簡単に貴族の屋敷には入る事は出来ませんから」
スーと、何だろうと話しながらソファーに寄りかかります。
そこは領主様に話を聞こう。
「もぐもぐ、このお菓子美味しいね」
「「うん!」」
シロ達よ、お菓子を食べるのは良いが、これ以上食べると夕食が食べられなくなるぞ。