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散歩の百八十話 食べられる魚が釣れない!

 そして釣り始めてから一時間が経った。


「もぐもぐ、うーん、お魚美味しいね」

「とっても美味しいよ!」

「美味しいね」


 焚き火コーナーでは、シロとフランとホルンが釣り上げて焼いてもらった魚を美味しそうに食べていた。

 スーとアオは二匹目を釣り上げて、焚き火コーナーに向かっていっています。

 僕?

 未だにボウズですよ。

 ははは、どうしてこうなった。


「お魚、釣れた!」

「あら、良かったわね」

「うん!」


 僕の近くで釣りをしていた親子が魚を釣っているので、この辺りには魚がいるはずです。

 なのに、全くヒットしません。

 くそう、こうなったら場所を変えてみよう。

 あえて桟橋ではなく、焚き火コーナー近くの湖畔から釣りをやってみよう。


「シュンお兄ちゃん、がんばれー」

「「がんばれー!」」

「頑張るよ」


 シロ達の声援を受けながら、僕は釣りを再開します。

 すると、直ぐに手応えが。


「おっ、遂にきたぞ」

「「「がんばれー!」」」


 魚を食べ終えたシロ達が、僕の側に来て応援してくれます。

 さてさて、何が釣れるかな?


 ザッパーン。

 ぷくー。


「あれ? お魚が膨らんだよ?」

「膨らんだ!」

「丸くなったよ」


 僕の釣り上げた魚は、急に丸く膨らみました。

 シロ達は丸くなった魚に興味津々ですが、僕は何だか嫌な予感がしています。

 とりあえず、おじさんの所に魚を持って行こう。


「ははは、川ふぐを釣ったか。こいつは毒があるから食べられないな。即リリースだ」

「あああ、やっぱりそうだ……」

「食べられないんだ」

「残念だよ」

「食べたかったなあ」


 やっぱりふぐだったあ!

 がくりと項垂れる僕の側で、シロ達は魚が食べられないと分かって残念そうにしていた。

 お前達、僕の釣ろうとした魚を食べようと思ったな?

 僕は川ふぐを湖に戻すと、気を取り直して釣りを再開しました。


 ザッパーン。

 ぷくー。


「またお前かい!」


 その後は僕の釣り竿に当たりが出ているのだが、何故か釣れるのは川ふぐばっかり。

 釣る場所も変えているし釣れる川ふぐの大きさが違うから、同じ個体が僕の釣り竿の餌を狙っているとは思えない。

 しかし、何故か釣れるのは川ふぐばっかり。


「ははは、にいちゃんは川ふぐ釣りの名人だなあ」

「「「凄いね、もぐもぐ」」」


 貸釣りのおじさんも思わずびっくりする程、僕は川ふぐを釣っています。

 隣で釣っていたシロ達は普通の魚を釣ってるし、僕にも全く理由が分かりません。

 そして、結局僕は夕方になっても川ふぐしか釣れませんでした。


「はあ、何にも食べられなかったよ……」

「ま、まあ、シュンさんが一番釣果があった訳ですしね」


 スーとアオが慰めてくれるけど、流石に僕の心の中はどんよりしています。

 途中から川ふぐが釣れまくったので、確かに釣果として僕が一番でした。

 でも、違うんだよなあ。


「お魚、美味しかったね」

「「美味しかった!」」


 お腹いっぱい焼き魚を食べたシロ達は、かなり満足そうに僕とスーとアオの前を歩いています。

 釣果も上々だし美味しい焼き魚も食べられたし、楽しかっただろうなあ。

 まあ、シロ達が楽しそうだったし、良かったとしておきますか。

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