散歩の百七十九話 みんなで釣りをしよう!
という事で、食堂から移動して、案内板に従って湖畔までやってきました。
「お、どうやらあの桟橋の所に貸釣りのお店があるようだぞ」
「おお、行くぞー!」
「「おー!」」
「あ、走らないの」
「くすくす、待ちきれない様ですね」
僕の話を聞いたシロが、桟橋に向かって走っていったぞ。
シロの後をフランとホルンもかけていくので、僕はスーの苦笑を背に受けながら追いかけていきます。
「おじさん、五人分お願い!」
「「釣りやるの!」」
「おお、元気なお嬢ちゃんだな。五人分だな、ちょっと待ってな」
シロ達は、早速貸釣り屋のおじさんに五人分の釣り竿を頼んでいた。
貸釣りのお店の側には、焚き火をしているスペースがあるぞ。
お客さんっぽい人が、串に刺さった魚が焼けるのを待っているなあ。
「おじさん、あの焚き火のスペースは何ですか?」
「おお、有料だけど釣った魚をさばいて串にさして焼いているんだ。その為のスペースだ」
「「「おおー!」」」
釣った魚を、その場で焼いて食べられるのか。
渓流釣りの様なサービスだなあ。
シロ達は、早速釣りの準備を始めていた。
因みに餌はゴカイみたいなものなんだけど、シロ達は勿論の事スーも平気な顔で扱っていた。
前世だと、女性が見たら気持ち悪い生き物だと思うんだけどなあ。
「お、お前もやるのか。はは、中々面白いスライムだなあ」
アオも、アイテムボックスからお金を取り出して店主に渡していた。
アオは誰かと一緒にやるかと思ったけど、まさか自分から釣りをするとはな。
皆で桟橋に移動して、場所を確保して釣りを始めます。
「釣れるかな? 釣れるかな?」
「フランが一番に釣るよ!」
「ホルンが一番!」
「ほらほら、周りの人の迷惑にならないようにね」
初めての釣りが楽しくてしょうがないのか、シロ達はウキウキしながら釣りをしています。
そんな中、最初の釣果を上げたのはこの人でした。
「あ、釣れました!」
「「「おおー」」」
「実は、以前に一回だけ釣りをやった事があるんですよ」
最初に魚を釣り上げたのは、経験者であるスーでした。
スーはちょっとウキウキしながら、おじさんの所に魚を持っていってさばいて貰っていました。
「あっ、アオがアオが釣ったよ」
「「すごーい」」
「マジか、本当に釣っているよ」
二番手は何とアオだった。
アオは魚を釣り上げた竿を持って、とってもウキウキしながらおじさんの所に向かって行きました。
「すごーい、スライムがお魚釣ったよ!」
「ぴょんぴょんしているよ」
「とっても可愛らしいわね」
アオは釣りをするスライムとして桟橋の人々から注目を浴びていたのに、見事魚を釣り上げたので家族連れから歓声が上がっていました。
僕も頑張って魚を釣らないと。