散歩の百七十五話 強盗撃退完了
と、ここで部屋の中にあの怪しい服を着た男が入ってきた。
「へへ。旦那、歯向かってきたバカはどうなって」
「「「あっ」」」
怪しい男は手揉みをしながらニヤニヤと部屋の中を見回して、本物の兵と僕達と目があってしまいました。
怪しい服を着た男がやばいって顔をしたけど、もう何もかもが遅いですよ。
「確保!」
「はっ」
「ちょ、ちょっと待って。ちょっと待ったー!」
怪しい男が何かを言うが、あっという間に兵によって拘束されてしまった。
どう見ても、この男は買収した兵の様子を見に来たのだろうな。
「大体の事はあのスライムの筆談で把握していますが、もう少し詳しく教えて貰えませんか?」
「できれば子どもが寝る所なので廊下で話しても良いでしょうか?」
「ええ、勿論ですよ」
良かった、この兵は話が通じる人だ。
拘束した者を廊下に運びつつ、僕は兵と共に話をします。
スーもシロも眠たそうだったので、そのまま寝てもらう事にした。
「はあ、まさか一連の強盗騒ぎがこんな事になっていたとは。事件が起きても兵の詰め所に通報がなかったのは、コイツが揉み消していたからか。そういえば、コイツが夜勤の時に事件が起きてたな」
「随分と慣れた口調でしたから、前から犯罪に加担していた様ですよ」
「何とも情けない事だ。先ずは私からお詫びする」
あの馬車の御者と話をしていた兵は、とても良い人の様だな。
身内の起こした事で謝罪もしてくれたし、直ぐに宿全体の調査も始めている。
「厨房から睡眠薬が見つかりました。あと、支配人部屋から多額の金品が見つかりました」
「ご苦労。後は、資金の流れの解明が必要だな」
「そうですね。集められた資金が何処にいっているか、調べないとなりませんね」
兵の報告を聞く限り、この宿での対応はこれで終了だろう。
そう思っていたら、僕も眠くなってきた。
「ふわぁ、すみません」
「いえ、ここまで分かれば我々で対応できますから。あなたはお休み下さい」
「お言葉に甘えて、失礼します」
兵も任せてと言っているし、ここは任せて僕は寝る事にした。
集中力が切れたら、流石に眠くなってきた。
僕は部屋に戻るが、僕の寝ていたベッドには既にスーとシロが寝ていた。
なので、僕はフランとホルンが寝ているベッドで寝る事にした。
何かあってもアオが起こしてくれるという。
ここはアオに任せておこう。
そう思ったら、急激に眠くなってきた。
僕はあっという間に、寝てしまったのだった。




