散歩の百七十三話 馬鹿な発言をした強盗の末路
一方の強盗は、未だに呑気に構えていた。
普通、一気に相手を制圧して問答無用で金品を強奪すると思ったけどなあ。
もしかしたら昏睡強盗専門で、力も大した事ないのかもしれない。
強盗は僕がこんな事を考えているとは全く思っていないようで、あろう事か何も武器を持たずにスーの側に近づいていった。
「さーて、嬢ちゃんよ有り金を全てよこし」
ブオン、ごきん。
「ぶべら!」
「「「あっ!」」」
ズサー、ドン。
あーあ、スーはお前らの胸がない発言のせいで超激怒しているのに、ヘラヘラとしながら近づくんだから。
スーが無言で放った右ストレートが強盗の顔面を直撃し、強盗は床を滑って壁に激突していた。
うん、こうなるのは予想した結果だよな。
「くそ、舐めんなこのアマが!」
「殺されたいのか!」
「この、貧乳が!」
ブオン、ドカン、キーン。
「「ぐふぇ」」
「ぶくぶく……」
そして、残りの三人もスーに突っ込んでいって酷い返り討ちにあっていた。
余計な事を言った奴には、膝蹴りで急所攻撃をしていた。
どうして学習しないんだかね。
「とりあえず拘束するか。この弱さだと、コイツラは本当に昏睡強盗専門だな」
未だに無言のまま黒いオーラを出しているスーを背中に向けて、僕はせっせと強盗を縛っていきます。
コイツラは、間違いなくフランとホルンでも一撃で倒せるレベルだな。
「スーお姉ちゃん、大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。ちょっとお馬鹿な事を口にしたお馬鹿さんに制裁をしていただけですわ」
「そーだよね。シロもお胸ぺったんこだし、これから大きくなるもんね」
「シロちゃんはとても良い事を言いますね。そうです、私達はまだ成長期なんですから」
スーは、シロの発言に力強く答えていた。
確かに年齢的にはまだまだ成長期だし、動いているのもあるからこれから大きくなる可能性はあるな。
あくまでも可能性だけど。
「シュンさん。今、何か余計な事を考えませんでしたか?」
「いえいえ、何も考えていませんよ」
くそ、スーはなんで僕の心の中まで読むんですか。
今のスーに対して、変な事を考えるのは止めよう。
勘が物凄くよくなっているぞ。
「「げしげし、げしげし」」
そして無理やり大きな音で起こされたフランとホルンは、スーに急所を蹴られて泡を吹いている奴を蹴っていた。
フランとホルンも、今は物凄く不機嫌だもんなあ。
この騒動が片付いたら、さっさと寝かせてあげないと。