散歩の百七十一話 不安の中での就寝
兵宛の手紙はできたのですが、下手に僕達が外に出ると怪しまれます。
なので、ここはアオに任せる事に。
アオは任せろといった感じで、アイテムボックスに手紙をしまって触手をふりふりしています。
「アオ、頑張って!」
「「頑張って!」」
アオはシロ達の声援に触手をふりふりして答えてから、窓から外に出ていきました。
アオなら確実に僕の手紙を兵まで届けてくれるでしょう。
さて、こちらは就寝の準備ですが、今夜何があるか分からないので直ぐに動ける様に冒険服で寝ます。
「貴重品も全てバッグの中に入れておけよ」
「「「はーい」」」
殆ど貴重品を出すこともないけど、僕は念の為にシロ達に声をかけておきます。
僕も、荷物を全てアイテムボックスに入れておきます。
更に対策として、ドアの前に机を置いておきます。
これで、何かあっても少しは時間稼ぎできそうです。
コンコン。
「あ、アオが帰ってきたよ」
「「お帰り」」
就寝準備バッチリとなった所で、外に出ていたアオが窓を触手で叩いています。
シロ達が、窓を開けてアオを出迎えます。
「アオが、ちゃんと手紙を渡したって」
「流石はアオだな」
シロがアオから話を聞くと、アオは当たり前だといった感じでふるふると震えていた。
どうもアオは、夕方防壁にいた兵と会えた様です。
「あとね、兵の中にも怪しい人がいたから教えてきたって」
「買収されている奴がいるのかな? そうでなければ、こんな宿なんて直ぐに捜査の手が入るだろうな」
「そうですね。ここまであからさま過ぎなのに、何も動いていないのはおかしいですね」
アオからの追加情報は、僕も何となく予想できていた。
これだけ派手にしていると宿泊客から苦情が来るはずなのに、ある兵がもみ消していたんだろう。
はあと溜息をつきつつ、僕達はベッドに潜り込みます。
「今日はお兄ちゃんと寝る!」
「じゃあ、フランはスーと寝る」
「ホルンもスーお姉ちゃんとねるの」
「はいはい、分かったから寝ましょうね」
睡眠薬なんてなくても一日旅をしていれば疲れるので、シロ達はベッドに入ると直ぐに寝てしまいました。
後は何も起きなければ良いなと思ったけど、可能性は限りなく低いだろうな。
そんな事を思いながら、僕も眠りについたのだった。