散歩の百五十六話 実は大事件?
馬車は夕方前には領都に到着したので、僕達はその足で冒険者ギルドに向かいます。
「おう、帰ってきたのね。遠征はどうだった?」
「中々大変でしたよ。良い経験にはなりました」
「そう、それは良かったわ」
夕方で完了手続きをする冒険者が多いので、ギルドマスター補佐のリリアナさんも受付ブースにいました。
しかし、この後の二人の言葉で、僕達は個別ブース行きに。
「フランちゃんとホルンちゃんは楽しかった?」
「うん、イノシシいっぱい倒したよ!」
「いっぱい、いっぱーい倒した」
「うん? イノシシをいっぱい倒した? シュンさん、ちょっとお話を聞かせて貰っても良いですか?」
「あ、はい。良いですよ」
リリアナさんは、どうもフランとホルンの話を聞いて違和感を感じた様です。
受付ブースの横にある、個別ブースに移動することに。
「それでフランちゃんとホルンちゃん、どのくらいのイノシシを捕まえたの?」
「うーんとね、じゅっこが」
「にじゅっこくらいかな?」
「二百頭超えですか!」
「あとね、ちっちゃな鹿も捕まえた!」
「じゅっこがごこぐらい!」
「それも本当ですか?」
「「本当だよ!」」
フランとホルンが一生懸命にリリアナさんに説明しているけど、リリアナさんはフランとホルンから聞いたブチイノシシの数にびっくりしていた。
何か問題があったのかな?
「シュンさん、フランちゃんとホルンちゃんの言った討伐頭数は本当ですか?」
「本当ですよ。村に卸した頭数もありますが、大体そんな感じです」
「うーん、それはマズイですね」
おや?
リリアナさんは、僕の話を聞いて更に考え込んでしまったぞ。
「ブチイノシシを二十頭くらいまで倒すのが、EかFランク相当になります。二百頭を超えるとなると、BかCランク相当になりますよ。そうなると、村は虚偽の申請を出した疑惑もあります」
「「「「えー!」」」」
リリアナさんの発言に、僕だけでなくスーとマヤさんとセラさんもびっくりしてしまった。
もしかしたら、僕はマヤさんとセラさんを危険な目に合わせてしまったのかもしれない。
「り、リリアナさん。実はこんな事が村であったんです」
僕はリリアナさんに、村で起こった教会絡みの事を話した。
すると、リリアナさんはポンと手を合わせて僕に話しかけてきた。
「なら、ちょうどタイミングが良いわ。ギルドマスターの執務室に、副団長が来ているのよ。案内するわ」
たまたまギルドマスターの所に、副団長が来ていたのか。
渡りに船なんで、僕達はリリアナさんの案内でギルドマスターの執務室に向かいます。




