散歩の百五十四話 後衛はちょっと不満?
午後は、別の森に場所を移して活動します。
「とー!」
「やー!」
「「「ブヒー!」」」
森の中には、まだまだ多くのブチイノシシの姿がありました。
本当に森の中がブチイノシシだらけになったんだなあ。
これじゃあ、ブチイノシシの食べるエサが足りなくなるはずだよ。
「ブヒー、ブヒー!」
ドカン。
「おっと、これじゃあ初心者冒険者にはブチイノシシの駆除は難しいなあ」
ブチイノシシは、興奮すると直ぐに突っ込んできます。
すばしっこいので、油断すると大怪我の元になります。
盾持ちもしくは魔法障壁が使えないとブチイノシシの突進は止められないし、魔法も中々当たりません。
村の若者レベルでは、駆除するにはちょっと難だな。
「マヤさんとセラさんは、怪我していませんか?」
「だ、大丈夫です」
「正直、シュンさん達がいないと厳しいかと」
休憩の時にマヤさんとセラさんに声をかけるけど、緊張の連続からか二人とも汗だくになっていた。
すばしっこいブチイノシシの攻撃をかわさないといけないから、常に集中しっぱなしだもんなあ。
「でも、本当に良い経験になっています」
「害獣駆除の討伐は、初心者の冒険者には中々経験できませんから」
「あ、私も同じです。討伐系は指名依頼が多いので、中々できないんですよ」
スーも話に混ざってきます。
スー曰く、討伐系の依頼は経験者を指定する事が殆どで、初心者は経験者についていって倒し方を覚えるそうです。
「でも、イノシシを倒すのは楽しいよ」
「避けるのも面白いよね」
前衛のシロとフランとアオは突っ込んでくるブチイノシシを避けるのが面白いらしく、楽しそうに話をしていた。
「ぶぅ、魔法避けるからイノシシ嫌い!」
「ホルンも、もっと魔法の訓練をすればブチイノシシに魔法が当たるようになりますよ」
ホルンはブチイノシシに魔法を当てられなくて、ちょっと不貞腐れています。
スーの様に複数の魔法を発動できないし連射の速度もまだまだだから、こればっかりは仕方ないよね。
よい実践訓練の機会だと思うので、ホルンにはこの後も頑張って貰おう。
という事で、休憩も終わりにして害獣駆除を再開します。
「「「良い匂い!」」」
「嬢ちゃんがとってきた鹿肉が、たっぷりと入っているぞ」
夕食時に村の人が集まってきて、鹿肉を使った鍋を作ってくれました。
野菜などは僕も提供します。
「いやー、あんちゃん達が来てくれて良かったぞ」
「普段領都に行かないから、まさか教会がそんな事になっているとは思わなかったな」
村人と共に鍋を食べるけど、田舎だから中々最新の情報が届かないよね。
教会の件も村長さんから聞いた様で、皆ホッとしています。
「辺境伯様にも村の現状を伝えます。他にも同じ被害を受けている村があるかもしれませんので」
「そうか、それは助かるぞ。流石は聖騎士から指名依頼を受けるだけの事はあるなあ」
心なしか、村人の表情も明るくなった気がします。
僕にとっても、今回の依頼は良い経験になったなあ。




