散歩の百五十一話 ブチイノシシ退治の開始
庭先に出た僕達は、改めて僕から今後の方針を伝えます。
「害獣被害の件は聖騎士の副団長にも伝えますけど、先ずは僕達でできる限りブチイノシシを退治します。もしかしたら他の害獣もいるかもしれませんので、この際だから併せて退治します」
「「「おー!」」」
僕達は実質二日間しか時間が取れないので、数多くの害獣駆除をする事にします。
「村長さんの家に行く途中の畑の足跡をみたけど、多くは村の入口にある森からでていました。なので、今日はその森の中を捜索します」
「「「「「はい!」」」」」
「あと、森の中だから火は厳禁ね」
「「「「「はい!」」」」」
僕とセラさんしか火魔法は使えないけど、念の為に注意しておこう。
武装も完了したので、僕達はいよいよ森の中に入ります。
「あ、獣の臭いがしたよ!」
「イノシシ見つけた!」
シロとフランは、自慢の鼻を使って早速ブチイノシシの群れを見つけました。
大きさは大型犬位だけど、いきなり二十頭を超える群れだぞ。
「ブフフフ」
ブチイノシシは、テリトリーに入ってきた僕達を敵と認識したようで、鼻息荒く威嚇してきます。
「「とー!」」
「ブヒー!」
しかし、シロとフランとアオはブチイノシシよりも一足先に突撃していきます。
というか、三人ともよくブチイノシシを一撃で昏倒できるなあ。
「ブヒー!」
「おっと、その手はくいませんよ」
「せい!」
一頭のブチイノシシが僕に突進を仕掛けてくるけど、僕は魔法障壁でブチイノシシをしっかりと受け止めます。
その瞬間を見逃さず、マヤさんが剣を一閃します。
「よく狙って魔法を放ってね。ブチイノシシは動いて避けるわ」
「中々難しいな」
スーはホルンに指導しつつ、お互いに魔法を放ちます。
ブチイノシシは結構すばしっこく動くので、ホルンの魔法の腕ではまだまだ当てるのは大変そうです。
「ふう、いきなり二十頭以上かよ」
「本当にブチイノシシが沢山いるのですね」
最初のブチイノシシとの戦闘は、だいたい三十分で終わりました。
アオが倒したブチイノシシの血抜きをしている間、僕とスーはブチイノシシの数の多さにげんなりしています。
「シュンお兄ちゃん、またイノシシを見つけたよ!」
「さっきよりも数が多いよ!」
「本当か?」
「「本当だよ!」」
血抜きを終えたブチイノシシをアイテムボックスに入れ終えると、シロとフランが次の獲物を見つけたのだ。
こうして、僕達は夕暮れまでに七十頭以上のブチイノシシを倒したのだった。
ドーン。
「おお、半日でこんなに多くのブチイノシシを倒すとは」
「本当に凄いわね」
「「「えへー」」」
村長さんの庭に今日の成果を並べると、村長さんはかなりびっくりしていました。
奥さんはシロとフランとホルンの頭をナデナデして、労をねぎらっていました。
「村長さん、ブチイノシシは取れるだけとっても大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫じゃ。奴らはいつの間にかまた数を増やすからのう」
「分かりました。あと、このブチイノシシの処分はどうしますか? 血抜きは済ませてあります」
「少し村に卸してくれると有難いぞ。残りはギルドで良いじゃろう」
「分かりました。今日はもう遅いので、明日また必要な分を出しますね」
という事で、今日のブチイノシシ退治は終了です。
この後は、お待ちかね野営の準備です。




