散歩の百四十七話 教会内の瓦礫の撤去
無料治療の指名依頼の次の日は、教会の中の後片付けの指名依頼が聖騎士団から入りました。
捜索は既に終わっているのですが、念の為に教会で悪魔と戦った冒険者が指名されました。
僕達も指名されていて、マヤさんとセラさんは特別に選ばれています。
昨日のマヤさんとセラさんの炊き出しと治療の対応を見た副団長が、二人なら問題ないと判断したそうです。
「結局は、昨日と同じメンバーだな」
「あの悪魔と戦ったメンバーだし、仕方ないでしょう」
格闘家の冒険者と剣士のお姉さんが話をしているけど、確かに殆どが昨日の炊き出しと同じメンバーです。
ただし、一人だけゲストが混じっています。
「あの、何で私がここにいるのよ?」
「あんたは、あの悪魔退治のメンバーの一人でしょうが。冒険者登録もしてあるでしょ? おっちゃんからも、人手が足りないなら良いよって言っていたぞ」
「うちに帰ったら、お父さんをぶん殴る!」
そう、悪魔退治で一緒だった花見祭りの実行委員長の娘さんです。
悪魔に向かって遠慮なく魔法をぶっ放していたし、参加基準は全く問題ない。
ちょうど面子も揃っているし、作業を始める前に僕達の今後の事を話しよう。
「すみません、作業を始める前にご報告があります。実は、少し早めに北の辺境伯領に行く事になりました」
「おお、そうか。そういえば、元々南の辺境伯領から来たって言っていたよね」
「冒険者が新しい活動場所を探すのは良くある事だ」
僕が話を始めると、他の人はアッサリと理解してくれた。
元々僕達が南の辺境伯領から来たのもあるようだ。
「ただ、マヤさんとセラさんの事もありますし、人に色々と教える事は自分にとっても勉強になります。ですので、マヤさんとセラさんがFランクに上がるまでは、東の辺境伯領に留まる予定です」
「シュンさん、スーさん、私達の為にわざわざありがとうございます」
「私達も、頑張って早くランクが上がるように頑張ります」
僕の話を聞いたマヤさんとセラさんが、僕とスーに頭を下げてきた。
マヤさんとセラさんが戸惑うかなと思ったら、意外と冷静に受け止めてくれた。
僕の見た感じ、マヤさんとセラさんはとても早くランクアップしそうな予感がするよ。
話はここまでにして、早速皆で作業を始めます。
先ずは、手分けして教会の中にある瓦礫を運び出します。
「よいしょ、よいしょ」
シロは力持ちなので、いっぺんに沢山の瓦礫を運んでいた。
フランとホルンも身体強化を使っていたけど、流石にシロほどの瓦礫は運んではいません。
僕とスーも、棒と布を使って簡易担架を作って二人で瓦礫を運び出します。
教会の外に運び出した瓦礫は、念の為に聖騎士のチェックを受けています。
瓦礫の中に証拠品が混じっていないかの確認をしています。
なので、アイテムボックスを使って一気に瓦礫を運べないのがちょっと痛いです。
「しかし、悪魔は教会の設備を派手にぶっ壊したなあ」
「あの悪魔は、知能が低そうに見えたからな。俺達は、ほぼ悪魔にピンポイントで攻撃していたぞ」
大体の瓦礫を運び終えた教会の中を改めて見ると、床や椅子に壁までもが壊れていた。
こりゃ、修理するにもだいぶ時間がかかるぞ。
僕達の瓦礫撤去は終わったので、ここからの修理は専門の職人にバトンタッチします。
「無事に終わりましたね。皆様、お疲れ様です」
「「「お疲れ様です!」」」
聖騎士のチェックも完了し、僕達の仕事は終了です。
僕達が運び出した瓦礫は、後で専門業者が片付けるそうです。
「午前中で依頼が終わったから、何か簡単な依頼でも受けるか」
「あ、ちょうどうちの近くの商店で店内の片付けをする依頼があるって」
「お、じゃあ、その依頼をやるか」
「「「おー!」」」
こんな感じで、空いた時間も簡単な依頼をこなします。
そして、マヤさんとセラさんよりも僕達の方が早くランクアップする事になりました。




