散歩の百四十五話 無事に指名依頼が完了
治療班はスーが中心となって切り盛りしています。
といっても回復魔法が使えるメンバーが少ないので、他の人は列整理です。
回復魔法が使えるのは、スーと剣士のお姉さんとゴリラ獣人の格闘家、それにホルンとセラさんです。
僕とアオも回復魔法が使えるけど、今回は炊き出し班なので治療には参加しません。
「順番に並んでね!」
列整理のシロの声が、治療の前から聞こえてきます。
シロの声はよく通るので、列に並ぶ人もシロの指示を聞いています。
ニコニコとしながらシロは色々な人に声をかけるので、年配の人を中心に時々シロの頭を撫でる人もいる様だ。
「はい、その調子ですよ」
「頑張ります」
セラさんは、スーの指導を受けながら軽傷者の治療を行います。
まだまだ治療は不慣れだけど、こればっかりは場数を踏まないといけないな。
「これでどうですか?」
「おお、楽になったよ。嬢ちゃん、ありがとうな」
ホルンはというと、花見祭りでずっと治療班にいたのでだいぶ慣れていた。
剣士のお姉さんやゴリラ獣人の格闘家と共に、沢山の人を治療しています。
治療班はスーがとても良く取りまとめているので、僕の出番はなさそうです。
そんな事を思っていると、フランがアオと共に僕の所にやってきました。
「シュン、炊き出しの追加を作ってだって」
「了解、直ぐに戻るよ」
僕はフランの手を繋ぎながら、炊き出しの所に戻ります。
炊き出しにも沢山の人が並んでいるので、僕も頑張って料理をしないと。
こうして、僕達はお昼過ぎまで炊き出しや治療を行いました。
「無事に終わった様だな。この分なら、来週も上手く行きそうだ」
「ありがとうございます」
辺境伯様は仕事の為に途中で帰ったので、代わりに来ていた先代様と話をしています。
マヤさんとセラさんの事も先代様に紹介したけど、マヤさんとセラさんはガチガチに固まっていたっけ。
「シュン、代わりの司祭やシスターが選出されるのに一ヶ月はかかる。その間は、申し訳ないが指名依頼として治療を行って貰いたい」
「全然大丈夫です。他の方も率先して動いてくれるので、とても助かります」
副団長も話をしてくれたけど、あと一ヶ月は東の辺境伯領にいる事になる。
となると、次の目的地である北の辺境伯領へは、早くても一ヶ月後に出発になるのか。
そろそろ旅の日程も話し合わないといけない。
宿に帰ったら、マヤさんとセラさんも交えて話をしよう。
こうして、一回目の指名依頼は無事に終了しました。