散歩の百四十四話 炊き出しの調理開始
ここからは皆で作業します。
マヤさんは魔法が使えないので、僕と共に炊き出し班です。
セラさんは威力は弱いけど回復魔法が使えるので、スーと共に治療班です。
因みに、フランは僕と一緒に炊き出し班でホルンが治療班です。
それぞれ分担が決まったので、早速作業開始です。
トントン。
「うわあ、シュンさんって料理が上手なんですね」
「つい最近まで一日中料理を作っていたからね。でも、マヤさんも上手に出来ていますよ」
「ありがとうございます。家族が多かったので、必然的に家事をやっていました」
僕が野菜を刻んでいると、横に並んでいたマヤさんが僕の包丁さばきを誉めてくれた。
マヤさんも中々の包丁さばきで、どんどんと野菜を刻んでいった。
辺境伯様の屋敷からも侍従が手伝いに来ていて、炊き出しの準備を手伝ってくれる。
他の冒険者達はあまり料理が上手くないというので、配膳用のテーブルや食器などの準備をしています。
そして早くもスラム街の子ども達が既に炊き出しを行う所に集まって来たのだが、子ども達はとある所ではしゃいでいます。
シュパパ、シュパパ。
「「「凄い凄い!」」」
アオとシーフのお姉さんの従魔のリーフが、風魔法を使って野菜を刻んでいます。
小さなスライムの華麗な魔法に、集まってきたスラムの子ども達は大はしゃぎです。
勿論、アオとリーフも子ども達に魔法が当たらないように気をつけています。
グツグツ。
今日は野菜をたっぷり使ったスープを出します。
お肉も勿論入っています。
「うん、塩は少しで良いな」
味見をするとお野菜から良い味が出ているので、ちょっとだけ塩を足します。
アオもリーフも味見をして、バッチリの様です。
「シュン、味見させて」
「私も良いですか?」
「はい、熱いので気をつけてね」
今日は味見係と配膳係のフランが、マヤさんと共に味見をしたいと言ってきた。
小皿に取り分けて、二人に味見をしてもらおう。
「「美味しい!」」
「良かった良かった」
二人とも思わずニコニコする味の様だ。
これならもう大丈夫だろう。
お腹を空かせたスラムの子ども達が、まだかまだかとこちらを急かす視線を送っていた。
この視線を受けたら、あまり待たせても可哀想だな。
「盛り付けからは任せてくれ」
「匂いにつられて、どんどんと人が集まってきたな」
「じゃあ、ここからはお願いします。僕は治療班の所に行ってきます」
ここからは格闘家の冒険者と、シーフと魔法使いのお姉さんが配膳を手伝ってくれます。
アオもリーフも配膳を手伝う様です。
ここは皆に任せて、僕は治療班のテントに向かいます。




