散歩の百四十三話 指名依頼開始
そして、僕達が指名依頼を受ける日になった。
昨日はフランとホルンもいるしマヤさんとセラさんもいたので、二日連続で薬草採取を行った。
そこそこの量は採れたし、マヤさんとセラさんも当分の資金を得たのでニコニコ顔だった。
「「「おはようございます」」」
「やあ、おはよう。今日も元気だな」
指名依頼の初日とあって、辺境伯様と聖騎士の副団長も教会に姿を表していた。
シロとフランとホルンは辺境伯様と副団長と顔見知りだったので普通に挨拶をしていたが、マヤさんとセラさんはこの人は一体誰だって顔になっていた。
「おお、この少女がシュン達の弟子か」
「はい、そうです」
「遂にシュン達も弟子をとるようになったか」
僕が辺境伯様と副団長と話をすると、マヤさんとセラさんは更に不安そうになった。
見知らぬ豪華な服と鎧を着ている人の側にいると、いたたまれなくなるよね。
という事で、早めにマヤさんとセラさんの紹介に移ります。
「マヤさん、セラさん、こちらにおられるのはこの東の辺境伯領の領主様と、王都の聖騎士団の副団長様です」
「「えっ!」」
「やはりそんな反応になりましたね」
マヤさんとセラさんにとって、辺境伯様と聖騎士団の副団長なんて雲の上の存在なのかもしれない。
スーもこればっかりは仕方ないって表情だ。
「マ、マヤです」
「セ、セラといいます」
「母上から話は聞いている。今日は頑張ってくれ」
「まあ、他の冒険者もいるから大丈夫だろう。冒険者になったばっかりなのに大変だな」
何とかマヤさんとセラさんも辺境伯様と副団長への自己紹介も終わったので、マヤさんとセラさんの精神衛生も考えて直ぐに作業に取り掛かる事にした。
「剣士のお姉ちゃんは、今は何をやっているの?」
「あたし以外も、皆実家の商店の手伝いだ。まだまだ観光客が多くて、店も忙しいんだ」
「おー、そうなんだ」
冒険者のお姉さん達は、宿を引き払って実家の商店に移っていた。
お店の手伝いが忙しくて、中々冒険者活動が出来ないようだ。
「格闘家のお兄ちゃんは?」
「俺達は別の指名依頼がきていたぞ。動物の討伐依頼だ」
「おー、凄いね!」
格闘家の冒険者達は宿を引き払っていなかったけど、ここ数日姿を見せていなかった。
指名依頼を受けるほどになっていたなんて、依頼者の信頼を得たんだね。
そんなこんなで、無料治療所と炊き出しの準備を進めます。
うーん、ほぼ花見祭りの時と同じ役割になりそうだぞ。