散歩の千百七十六話 泣き崩れていたシスター
そんな中、必死に聖教皇猊下を治療していたシスターが泣き崩れていたのです。
「うぅ、わ、私のせいです。私が、人質に取られなければ、こ、こんな事に……」
「貴方は、何も悪くないわ。それに、この状況では誰かが人質になったのは必須です」
人質に取られた責任を感じているのだろうけど、女性の枢機卿が言う通りこのシスターは理不尽な犯罪に巻き込まれただけだった。
この場にいる人全員を鑑定しても、とても良い人ばかりだった。
泣き崩れているシスターはまだ動けないけど、その他の人たちは大聖堂の中に移動してもらいます。
「シュンさん、アオちゃんとシロちゃんが馬に乗って町を巡回するとお義母様から連絡がありました。私たちは、大聖堂の中をもう少し詳しく確認して欲しいそうです」
スーが王妃様の指令を伝えてくれたけど、まだ夕暮れまで数時間はあるしやれる事はやらないと。
そして、何とか泣き止んだシスターさんを王妃様のところに連れていきました。
「自責の念が重いのじゃろう。暫く様子をみないといけないのう」
王妃様は、長椅子に座って項垂れているシスターを見ていました。
まだ精神的に不安定なので、念のためにシスターさんに鎮静化の魔法をかけています。
さて、僕は大聖堂内を調べないと。
夕方のミサには王妃様が代表して出てくれ、僕はスーと案内のシスターと共に再び動き始めました。
「実は、あのシスターは聖教皇猊下の遅くにできた娘なのです。奥様は亡くなられておりますので、シスターが代わりに聖教皇猊下の面倒をみておりました。親子仲は、とても良好でした」
案内してくれたシスターさんが説明してくれたけど、あれだけ号泣したり必死に治療するはずです。
目の前で父親が刺されたのだから、そりゃショックなはずですよ。
それに、もしかしたら聖教皇猊下の娘だからこそ、聖教皇猊下の動きを封じるためにゲス枢機卿一派に人質として取られたのかもしれません。
何にせよ、許せない事です。
ガチャ。
「ここが、ゲス枢機卿一派が使用していた控室です」
おお、最初に案内された所がいきなり大本命が使っていた部屋とは。
何というか、高価な調度品ばかり置かれていますね。
「スー、念の為に最初に浄化してから調べよう。聖騎士も呼んだ方がいいね」
「そうですわね」
何というか、どよーんとした空気が漂っているんです。
こりゃ、絶対に何かありそうですね。




