千百六十四話 相手の裏の裏をかきます
王妃様は、更に演技を続けた。
「しかし、この状況で聖騎士団が動いていないのはおかしいのう。それに、他のシスターは何処に行ったのじゃ?」
「「「えーっと、えーっと……」」」
どう見ても聖職者には見えないならず者たちは、王妃様の指摘にしどろもどろです。
肝心の司祭があっという間に行動不能になり、本人たちもどうして良いのか分からないのでしょう。
「ザンギエフよ、騎士団の詰所までひとっ走りしてくるのじゃ」
「はっ」
ザンギエフ様たちは、敢えて王妃様に恭しく一礼をしました。
そして、こっそりとアオも若馬に乗ってザンギエフ様と一緒に向かいました。
すると、ここで遂にならず者たちが本性を現したのです。
「く、くそ、俺たちを馬鹿にしやがって! しかし、作戦は二重にしておくものだ。お前たちは囲まれているんだよ! 野郎ども、出やがれ!」
シーン……
ならず者が誰かに合図をしたが、教会内に入る気配は全くなかった。
うん、ニヤリとしながら右腕を上げているならず者が滑稽だね。
「うん? どうした? お前たち、さっさと入ってこい!」
「「「プププ……」」」
少し焦り出したならず者に、ケーシーさんたちが思わず吹き出していますね。
ならず者たちは、何が何だか分からない状況です。
すると、ここで馬が何かを咥えながら教会の中に入ってきました。
ドサッ。
「ブルル」
「えー!?」
馬が咥えていたのは、ならず者たちが呼ぼうとしていた教会の外にいた応援部隊でした。
うちの馬にかかれば、UMAにならずとも十人くらいは余裕で倒せます。
「お主らの魂胆など、最初から見え見えじゃ。主犯の司祭が、魔獣化の薬を飲む可能性もじゃな」
「あっ……」
ここで、ならず者はようやく僕たちが最初から全てを把握していることに気が付きました。
僕たちは事前に探索魔法などで状況を確認しているし、様々な可能性を考えています。
ならず者の顔が一気に青くなったけど、残念ながら何もかもが遅いですね。
ポキポキ、ポキポキ。
「そろそろ、お主も観念するのじゃ」
「あわわわ……」
とても良い笑顔の王妃様に、ならず者は恐怖が止まらなかった。
しかし、もはや僕たちを邪魔するものはいない。
馬たちも再び教会の外に陣取ったので、仮に教会の中から逃げても無駄ですね。
「ふふ、成敗じゃ」
「ノーーー!」
こうして、教会の中で僕たちを待ち伏せしていたならず者たちは、呆気なく倒されたのでした。
さてさて、物置に閉じ込められているシスターさんたちを助けないとね。




