散歩の千百二十四話 大捕物
「これで座学を終了します。この後は、休憩を取りながら訓練場に移動します」
「「「「「はい!」」」」」
ホルンの座学講習は、無事に終了しました。
僕が指摘する場面もなかったし、アオも上手くホルンをサポートしていました。
初心者冒険者からの質問にもキチンと答えていたし、最初にしては中々良くできたと思います。
「とっても良かったよ!」
「ヴィヴィちゃん、ありがとう」
ヴィヴィだけでなく、トリアさんも良かったとホルンを褒めています。
もちろんアオもなんだけど、実はアオに冒険者ギルドの一階ホールに移動してもらっています。
というのも、例のオオカミ獣人に接近している怪しい人物がいたからです。
僕も、探索魔法を使いながらその怪しい人物の様子を追いかけていました。
バキッ、ドカッ!
「「「あっ!」」」
アオが一気に動いたので、僕たちも急いでホールに向かいます。
すると、アオの一撃を受けたのか横に大きい人物が床に倒れていました。
あれ?
もしかして、猫耳カチューシャを付けた人族のおっさんだったのかな。
一方、オオカミ獣人の二人は、尻もちをつきながら突然のことに驚いていた。
僕たちも、直ぐにアオにノックアウトされた人物を縛りながら調べた。
「人神教の関係者で、劣化版魔獣化の薬を持っています。ギルドマスターを呼んで……」
「もう来ているぞ。しかし、下手くそな変装だな。こんな馬鹿みたいな変装に引っかかる奴がいるとはな」
僕の背後から覗き込んできたギルドマスターは、そのまま尻もちをついているオオカミ獣人を睨みつけました。
ギルドマスターの迫力ある眼光に、オオカミ獣人は完全にタジタジです。
「お前らは、他人にどうこう言うレベルに達していないということだ。あっさりとこんな馬鹿に引っかかるようでは、冒険者としてやっていけねーぞ!」
「「はい……」」
危うく人神教の関係者による犯罪に巻き込まれそうになったので、オオカミ獣人はシュンとしながらギルドマスターの忠告を聞いていた。
簡単に強さは手に入らないし、安易に強さに手を出すと痛いしっぺ返しを受けます。
そして、ギルドマスターは人神教の関係者を調べているアオを指さした。
「お前らが馬鹿にしたスライムだがな、俺や領主様よりも強いぞ。そこのにーちゃんは、武人として有名な帝国皇帝に瞬殺で勝てるだけの腕前だ。お前ら、殺されなくてよかったな」
「「えっ?」」
ギルドマスター、ニヤニヤしながら言わないで下さい。
本当のことだとしても、言い方ってものがありますよ。
オオカミ獣人の二人は、僕たちを見るなり段々と顔が青ざめているじゃないですか。
ここは、穏便に済まさないとね。




