散歩の千百二十二話 いよいよ講習を始めます
段々と席に新人冒険者が集まって来たけど、予定よりも人の数が多かった。
でも、座学は人数が多くても何にも問題ないし、手合わせも時間がかかるだけで大丈夫です。
「くくっ、弱そうな奴らばっかりだな」
「そうだな。これなら、直ぐにトップを狙えそうだ」
生きの良いオオカミ獣人の若者も部屋に入ってきたが、このくらいなら全然余裕だろう。
ということで、さっそく僕たちも座学を始めます。
最初に、僕が全員にこの後のスケジュールを説明します。
「皆さん、はじめまして。本日の新人冒険者向け講習を担当する、Bランク冒険者のシュンです。先日、教会で行った奉仕活動で顔を合わせた人もいるかもしれません。今日は、部屋での座学、訓練場に移動して荷物講習、武器講習を行います。人数も多いですが、丁寧に行いますので宜しくお願いします」
僕が挨拶を兼ねて説明すると、あの人かと言う新人冒険者がいました。
どうも、教会での奉仕活動を見た人がいるみたいですね。
「そして、北の辺境伯領で行われた武道大会のチャンピオンであり、スライムにしてBランク冒険者でもあるアオと、Cランク冒険者で幼いながら国から勲章を授与されたホルンが座学を担当します。もちろん、僕も補佐をします」
僕が説明をすると、新人冒険者がザワザワとざわめいています。
スライムと七歳の小さな女の子が、新人冒険者に講師をするのもあるでしょう。
すると、意気がって部屋に入ってきた二人のオオカミ獣人が、バンと机を叩きながら立ち上がったのです。
「おい、何で俺らの講師がガキとスライムなんだよ!」
「スライムが講師って、なめ腐っているのか!?」
どうやら、ホルンよりもスライムのアオが講師をするのが気に食わないようです。
すると、アオは黒板に文字を書き始めました。
カリカリカリ。
「何々? 武器講習の際に、最初に相手をしてあげるだと!?」
「上等だ、やってやろうじゃねーか」
アオが対戦を約束すると、オオカミ獣人は何とか席に戻った。
だが、オオカミ獣人は頭に血が登って気が付かなかったが、何人かの新人冒険者はあることに気がついた。
スライムが、黒板にチョークを持って字を書いたことに。
少し気の弱そうな新人冒険者は、大声を出して威嚇したオオカミ獣人に少し怯えていた。
荒っぽい冒険者と一緒なのは、正直あまり気が進まないよね。




