散歩の千百十八話 冒険者ギルドに急ぎます
「エミリア様より、お館様に徹底的に馬鹿を叩きのめして欲しいとの報告を受けております」
「確かに、領民を害する馬鹿は徹底的に叩きのめさないとならないな」
兵の報告を聞いて、辺境伯様はニヤリと笑みを浮かべていました。
現地に向かうのは、辺境伯様、先代様、僕、シロになり、他の人たちは屋敷で待機することになりました。
「辺境伯様、馬は……」
「シュン、走っていくぞ!」
シュイン、ズドドドド。
辺境伯様だけでなく、先代様までもが身体能力強化魔法を使って走り出した。
シロも二人の後に続いたので、僕も急いで走り出した。
目的地は分かっているし、程なくして到着した。
「あっ、お館様、先代様!」
冒険者ギルドの前には、既に複数の兵が集まっていた。
そして、直ぐに冒険者ギルドに入ると、口から泡を吐いて倒れている虎獣人とガクガクと震えている如何にも人相が悪そうな人族がいたのだ。
虎獣人の体が歪になっていて、間違いなく魔獣化の薬を飲んだのだろう。
シュイン、ぴかー!
「か、辛うじて息があります。このまま治療を続けます」
「おう、シュンか。任せたぞ」
僕の背後からギルドマスターが声をかけたのだけど、ライオン獣人なので相変わらず迫力が物凄い。
そして、シロがある人物を指さした。
「あっ、悪者発見!」
「ぐっ……」
人混みの中にいる一人の人族を、シロはあっという間に捕まえた。
そのまま、足を持って引きずりながら僕たちの方に連れてきた。
虎獣人の治療をしつつ、僕は直ぐに鑑定魔法を使った。
シュイン、もわーん。
「間違いなく、ゲス枢機卿一派の関係者です!」
「ちっ」
少し小太りの男は、僕に正体を見破られて悪態をついていた。
しかし、直ぐに屈強な兵によってぐるぐる巻きにされた。
「おい、誰から薬をもらった?」
「へあっ? ああ、あいつ、です!」
先代様のドスの聞いた声に、尻もちをついていた人相の悪い人族は、わなわなとしながら捕まったゲス枢機卿一派の関係者を指さした。
因みに、この尻もちをついている人族の冒険者は、人神教とは全く無関係だった。
とはいえ、話を聞かないといけないでしょう。
そのまま、先代様によって冒険者ギルド内の個室に連れて行かれた。
「くそ、俺を捕まえてもムダだぞ! ゲス枢機卿様が、西の辺境伯領を我が物にするはずだ」
あーあ、よりによって一番言ってはいけないことを言っちゃうなんて。
これには、流石に辺境伯様もガチギレだった。
「取り敢えず、素直にお喋りするようにしないといけないな」
「そうだな。ちょうど、地下室が空いているぞ」
「へっ?」
ギルドマスターも、辺境伯様と同じくガチギレモードだった。
そして、ギルドマスターはヒョイッと拘束されたゲス枢機卿一派の関係者を肩に担いだ。
「おい、ちょっと、おーい!」
ゲス枢機卿一派の関係者はジタバタと大声で叫ぶが、逃げ出すのは不可能でしょう。
そして、辺境伯様と共に地下に消えていったのだった。




