散歩の千百十七話 あまり良くない情報
午後は屋敷に戻ったんだけど、巡回部隊は交代することになりました。
今度は、ケーシーさん、テルマさん、リアーナさんが馬に乗って町を巡回します。
ケーシーさん、テルマさんは辺境伯様に嫁ぐ予定だし、町を知る良い機会かもしれません。
アオも、引き続き若馬に乗っているそうです。
因みに、うちの馬二頭はいつの間にか鑑定魔法まで覚えていて、犯罪者を残らず捕まえているそうです。
強い上に補助魔法まで覚えるとは……
「じゃあ、小さい子は昼寝でもしていなさいね。午前中は疲れたでしょう」
「「「「「はーい」」」」」
マリア様の案内で、ちびっ子たちは部屋に移動しました。
孤児院の子どもたちと大はしゃぎだったし、直ぐに寝ちゃうかもね。
シロとジョディーさんは、一応大人枠として話を聞いてもらいます。
ということで、僕たちは応接室に移動します。
エミリア様は、授乳タイムだそうです。
「シュンは見たから分かると思うが、劣化版の魔獣化の薬を人神教関係者が強くなる薬と偽ってばらまいていたことが判明した」
辺境伯様から聞かされた話は、かなりとんでもないものだった。
魔獣化するのもあるけど、そもそも劣化版だから身体にも危険な薬だ。
「巡回部隊がかなりの数を見つけたが、まだ全て回収はできていない。人神教の関係者はほぼ全員捕まえたが、厄介なものを残していきやがった」
辺境伯様も悔しそうに話しているが、ごく僅かに残った劣化版魔獣化の薬を見つけるのは至難の業だ。
でも、僕はあることに疑問があった。
「でも、正規版の薬を何故使わなかったのでしょうか?」
「コストの問題で、ゲス枢機卿一派が何とか真似て作ったらしい。結果は散々たるものだがな」
先代様曰く、捕まえた人神教の関係者を尋問して吐かせたという。
ということは、人神教は資金難になっているのかもしれない。
「人神教の関係者は、人族にしか薬を渡していないという。しかし、そこから先は一切分からない。シュンたちをどうこうするレベルではないが、念のために気を付けておくように」
確かに、劣化版魔獣化の薬を飲んで僕を襲おうとした人神教の関係者は、僕が状態異常回復魔法と浄化魔法を使わなくても死んでいた可能性が高かった。
しかし、ただ強くなると渡されたのなら副作用は全くわからないはずだ。
対処法も分かるし巡回を強化するしかないけど、中々難しい問題だ。
すると、ここでとんでもない情報が応接室に入ってきた兵から僕たちにもたらされたのだ。
「ほ、報告いたします。冒険者ギルド前にて、劣化版魔獣化の薬を服用して暴れているものがおります!」
「「「「「えっ!?」」」」」
まさに、今僕たちが話をしていた内容だった。
僕たちは、思わず顔を見合わせてしまったのだった。




