散歩の千百十五話 何やら怪しい情報?
そして、人神教の関係者はワタワタしながら僕を指差しながら叫んできた。
「おお、お前らが邪魔をしなければ、今頃はゲス枢機卿様を頂点とする理想国家ができていたはずだ。おお、お前らが邪魔をしなければ!」
いやいや、僕たちから積極的にゲス枢機卿一派に何かをしたことはないですよ。
全部、降りかかってきた火の粉を振り払っただけですよ。
「この辺境伯領の教会でも、お前らがあと少し来るのが遅ければ上手くいったものを。全て台無しにしやがって」
辺境伯領の教会でも、ベラベラと色々なことを勝手に話していただけだと思うよ。
それに、直接手を下したのは辺境伯家の皆さんだしね。
といっても、頭に血がのぼって興奮している人神教の関係者に言っても無駄だと思うよ。
「ふはは、そのうちゲス枢機卿様からの刺客が来るだろう。でも、その前に俺がお前を殺してやる!」
パクッ。
「グオオオオオ!」
人神教の関係者は、薬みたいなものを飲み込むと急に体が歪に変化してきた。
恐らく魔獣化の薬を飲んだのだろうけど、もちろん以前から魔獣化への対策はできています。
シュイン、ぴかー!
「グアアアア!」
僕は、事前に溜めておいた魔力を一気に解放しました。
状態異常回復魔法に加えて浄化魔法を放つと、人神教の関係者は苦しそうにもがいていました。
「グフッ、グフッ……」
えーっと、大丈夫かな……
軽く状態異常回復魔法と浄化魔法を放っただけなのに、既に人神教の関係者は体が歪な状態のまま瀕死状態です。
膝をついて息もおかしいけど、回復魔法をかけたら逆に死んじゃいそうで怖いなあ。
そもそも、飲んだ薬も良くなさそうだぞ。
その時、この人が姿を現したのです。
「シュン、遠慮なくもう一回状態異常回復魔法と浄化魔法を放つのだ。仮に人神教の関係者が死んだとしても、そいつの体が魔獣化の薬に耐えられなかっただけだ」
部下を引き連れた先代様の指示により、僕はもう一度人神教の関係者に状態異常回復魔法と浄化魔法を放った。
シュイン、ぴかー!
「ぐ、グフッ……」
ドサッ。
予想通り、人神教の関係者は僕の魔法に耐えられなかった。
でも、僕は念には念を入れて状態異常回復魔法と浄化魔法を放った。
勘だけど、何だか嫌な感じがしたんだよね。
「ふう、これで大丈夫です」
「うむ、ご苦労。どうも、コイツラは劣化した薬を持っているようだ。だから、念入りに浄化させたのだよ」
劣化した薬とは、中々良くない情報ですね。
どうやら、先代様は何か情報を得ているみたいですね。
因みに、歪な体のまま息絶えた人神教の関係者は、念入りに拘束されて兵に運ばれていった。




