散歩の千百十四話 教会で話をします
孤児院の子どもたちは、毎日勉強をして教会のお手伝いをしているそうです。
ということで、フランたちが子どもの勉強をみてあげることになりました。
頭が良いホルンが、全体を見ているみたいですね。
リアーナさんたちが子どもたちの側にいてくれるので、その間にシスターさんと話をします。
「ありがたいことに、改修後は多くの人が教会を訪れております。特に、孤児院を守った女神像があるのと、アオちゃんが彫った素晴らしい木像を見たいという人がおります」
アオの作った木像はとても出来がいいし、まるで本物の神様が目の前にいると涙する人もいるそうです。
作った当初は白っぽかった木像も、段々と茶色になってきて良い感じになっていますね。
教会もとても栄えていて、応援のシスターさんも来ているそうです。
「とても、アットホームな感じの教会になりましたわ。人々もとても良い笑顔です」
「町の人も、とても多く訪れております。孤児院の子どもたちにも、とても良くしてくれます」
スーの話に、シスターさんもニコリとしながら返事をしました。
獣人が多くても、やはり西の辺境伯領はとても良い人が多いですね。
すると、見知った人が僕たちのところにやってきました。
「おお、いたいた」
「あっ、親方さんです。久しぶりです」
木材加工場の親方さんが、僕たちの前に姿を現しました。
相変わらず、とても元気そうですね。
「とても素晴らしい孤児院を作って頂き、本当にありがとうございます」
「なに、俺たちも久々に良い仕事が出来たってことだぞ。それに、シュンたちがしっかりと基礎を作ってくれたおかげでもあるぞ」
親方をはじめとする大工の人たちも、しっかりとした建物を作ろうとしたそうです。
だからこそ、とても頑丈な孤児院ができたんですね。
「しかし、シュンは貴族になっても料理を作っているとはな。職人も驚いていていたぞ」
なんというか、こればかりは僕も苦笑いするしかなかった。
別に料理をするのが嫌いではないし、他の子も手伝ってくれるけどね。
こうして、和やかな雰囲気だったのだけど、ぶち壊したものが現れたのだ。
ザッ。
「テメーが、シュンだな! 俺らの活動を、よくも邪魔しやがって!」
突然、教会前で僕に悪態をつく横に大きい人族が現れたのです。
どう見ても怪しいので即座に鑑定魔法を使ったら、やっぱりというか人神教の関係者でした。
直ぐにスーたちに目で合図し、警戒を強めます。
しかし、先にこの人たちが動いたのです。
ボキボキ。
「お前らだな。俺たちの町で馬鹿騒ぎをしているのは」
「おおおお、お前たちじゃない。引っ込め!」
怒れる親方たちに、人神教の関係者は尻込みをしていました。
うーん、本当にこの人は何をしに来たのだろうか。




