散歩の千百五話 ちょっとしたトラブル?
お昼の前になると、炊き出しに並ぶ人も増えてきた。
僕もフルパワーで炊き出しの仕込みをしていたが、ここである意味予想されたトラブルが発生したのだ。
「おい、獣人じゃなくて人族の治療を優先しろ!」
「お前ら、何を勝手なことをしている!」
複数の人族が、治療の列に無理矢理割り込もうとしていたのだ。
人族はボロボロの服を着ていたが、どうも冒険者みたいだ。
もちろん警備の冒険者と揉めていたが、ここで直ぐに動いたものがいた。
「あー、悪者発見!」
「ブルル!」
「「「うわっ、何をしている!?」
シロと馬が、直ぐに人族を列から引っ張り出した。
そして、兵も騒いでいた人族をすぐさま拘束した。
アオはケントちゃんたちを守っているので、僕が鑑定魔法で人族を確認しないと。
シュイン、もわーん。
「あっ、全員窃盗犯って出ています。ということは、他にも何かをしているかもしれない可能性もあります」
「「「げっ……」」」
僕の鑑定結果を聞いた人族は、全員ヤバいって表情を見せていた。
もしかしたら、西の辺境伯領に流れ着いた人族は何らかの事情を抱えている可能性が高そうだ。
直ぐに軍に連行されていき、尋問を受けることになった。
ついでに、エミリア様にこのことを伝えておこう。
そういえば、エミリア様が尋問を担当するんだっけ。
捕まった人族が素直に白状しないと、五体満足ではいられないかもしれない。
「うーんと、他は今のところ問題ないよ」
「ブルル」
「じゃあ、引き続き監視継続だな」
シロたち遊撃班は、このままで良いでしょう。
そして、別の問題が起きていたのだ。
「あの、何でこんなに炊き出しにならんでいるんですか!」
「そりゃ、シュンの作る料理が美味いからに決まっている。町の人も、シュンの料理の美味さを知っているからな」
作っても作っても、一向に人の列が途絶えなかった。
もう、護衛をしている兵や冒険者は当たり前って反応だった。
治療班も忙しくて増援を頼むことができず、僕は身体能力強化魔法を全開にして料理を作っていた。
残念なことに、僕が料理を作れば作る程更に町中に噂が広まってしまった。
流石に無理なんじゃないかなと思ったのだけど、炊き出しの材料がどんどんと追加されていった。
こうして、僕は周囲のことを気にする余裕も無くなる程料理に専念していたのだった。




