散歩の千百四話 今のところ奉仕活動は順調です
「あら、スーじゃないの。元気そうで何よりだわ」
「おばあさま、私のことを覚えているのですね」
「ええ、そうよ。お祭りのこともそうだし、孤児院再建も手伝ってくれたじゃない」
牛獣人のおばあさんは、スーににこやかに話をしていました。
他にもシロたちのことを覚えている人も多かったし、とっても楽しそうに話をしています。
「なんだ、シュンは相変わらず料理をしているな。前も祭りで屋台をしていたな」
「シュンの作る料理は美味いから、十分に期待できるな」
「どうせ、貴族になっても料理を作っているんだろうな」
僕に声をかけてくる人は、大体こんな感じのことを話していました。
うん、全く否定できないことなので下手に反論できないですね。
とはいえ、僕のことを覚えていてくれるのはとてもありがたかった。
シュイン、ぴかー。
「あらあら、今日はケント様もみんなと一緒なのね」
「そうなんだよ! みんなと一緒に頑張ってお手伝いしているんだ」
「それは良いことね。今の辺境伯様は、奉仕活動の時は他の子どもたちと遊んで怒られていたわね」
ケントちゃんを褒めるのはともかくとして、辺境伯様の行動は何となく想像がつきました。
町のおばちゃんに他の子どもと一緒に説教されたらしく、先代様ももっと怒ってやれといっていたそうです。
大貴族の嫡男なのに、町の人からの扱いが凄いですね。
今も、正式に先代様の妻になったマリア様にビシバシ鞭で叩かれながら仕事をしているもんなあ。
「うーん、あんまり悪い人はいないね」
「ブルル」
「そりゃ、エミリア様が貧しい人への対策もしっかりしているからだ。悪人が少ないのは良いことだ」
シロと馬が暇そうにしているのは、ある意味良いことなのかもしれません。
とはいえ、まだまだ何かが起こる可能性はあるし、特に住民とトラブルを起こしている人族の件はとても気になります。
警戒を緩めることはしないし、僕も常に周囲に気を配っています。
「一番警戒しないといけないのが、ケント様を狙う奴だ。辺境伯家に喧嘩を売るのは自殺行為だが、昨日みたいな大馬鹿野郎が来る可能性もある」
「あの、僕たちもいるんですけど……」
「シュンたちは、武道の達人だろうが。エミリア様という武神もいるが、シュンたちも十分に強いぞ」
側にいる冒険者は、僕たちについては楽観視していた。
ケントちゃんにはアオがピッタリとついているし、余程のことがなければ大丈夫ですね。




