散歩の千九十七話 教会に向かいます
「みんなは、ケントちゃんと赤ちゃんを守ってあげてね」
「「「「「任せて!」」」」」
僕は、シロたちに声をかけます。
シロたちも、とてもやる気満々ですね。
赤ちゃんと触れ合いたいのもあるかもしれません。
僕とアオは、エミリア様と共に屋敷の玄関に移動した。
「これから教会に行ってくるよ。念のために、屋敷を守っていてね」
「「ブルル」」
エミリア様は辺境伯家の馬に、僕とアオは若馬に乗り込んだ。
うちの馬がいれば、取り敢えずは大丈夫ですね。
そして、馬が教会に向かって走り出したのだけど、エミリア様の乗っている馬がとても速い気がするよ。
「辺境伯家の馬をシュンたちが鍛えたのだから、私も馬を鍛えていたのよ。お陰で、精鋭ができたわ」
エミリア様が鍛えた馬の精鋭って、とんでもない気がするよ。
アオも、同じことを考えていたっぽい。
そして、僕たちを乗せた馬はあっという間に教会に到着した。
教会の中は既にかなりざわついていて、間違いなく押しかけた聖職者が問題を起こしていると思われた。
しかし、一般市民が多くて中々前に進めない。
「皆さん、道を開けて頂けませんか?」
「「「「「エミリア様!」」」」」
ニコリとしているエミリア様の声を聞いた途端、一気に道ができた。
流石だと思いながら、僕たちは前に進んでいった。
すると、西の辺境伯様、先代様、司祭様と対峙するように、豪華な服を着た聖職者と取り巻きがいたのだ。
うーん、でっぷりと太っているし明らかにおかしいね。
「これは、いったいどういうことですか?」
エミリア様の鋭い声が、教会内に響いた。
すると、何故か豪華な服を着た聖職者はヤバいという表情をしたのだ。
「おお、シュンも来たか。この馬鹿が、辺境伯領の新たな責任者になると言い出したのだよ。しかも、王都大教会の教皇猊下の命令書などは持っていない」
「ふふ、ふん。本国からの命令書があるから、何も問題ないわ」
ふーん、なるほど。
どうやら、この豪華な服を着た聖職者は強引に話を進めようとしていたのか。
そりゃ、ここにいる人たちは激怒するだろうね。
「すみません、どなたからの命令書ですか?」
「ゲス枢機卿様に決まっているではないか!」
そして、命令書を出した人がまさに渦中の人物だった。
取り敢えず、この聖職者は真っ黒ってことが判明した。
この際だから、出来るだけ情報を引き出すことにしよう。




