散歩の千九十五話 西の辺境伯領に到着です
その後は特にトラブルらしきこともなく、順調に馬車は進んで行きました。
途中で子爵領に向かう西の辺境伯領軍とすれ違ったけど、どうやら先代様とエミリア様の激怒を買ってしまったらしい。
陛下の怒りも買っているし、今度僕たちが王都に帰る時には新しい領主になっていそうだ。
パカパカパカ。
「あっ、段々と町が見えてきたよ!」
そして、いよいよ西の辺境伯領の町並みが見えてきた。
僕たちも身支度を整えて、幌馬車内のコタツをしまってちゃんと馬車に乗ります。
僕たちは軍の護衛付きなので、街道を行く人たちも何事かと見ていました。
「「「スーザン王女殿下に敬礼!」」」
「皆さま、お仕事お疲れ様です」
防壁の門を警備する西の辺境伯領兵が、馬車の窓から顔を覗かせたスーに敬礼をしていた。
そして、馬車はゆっくりと進んでいった。
「わあ、新しい孤児院ができているよ!」
「「すごーい!」」
防壁の門を通過して直ぐにある孤児院は、立派なものが出来上がっていました。
孤児院建設を手伝っていたシロ、フラン、ホルンも、とても嬉しそうにしていますね。
すると、僕たちの馬車列を見ていた孤児院の子どもが声をあげました。
「あっ、シロちゃんだ!」
「「「「「ほんとーだ!」」」」」
孤児院の子どもたちが、僕たちに一生懸命手を振っていました。
もちろん、シロたちも一生懸命に手を振り返しています。
こうして時間が経っても覚えてもらえるのは、とても嬉しいことですね。
そして、僕たちを乗せた馬車は、無事に西の辺境伯家の屋敷に到着しました。
やっぱり、少し懐かしい気持ちになるね。
すると、馬車を降りた僕たちを張り切って出迎えてくれた人がいました。
「いらっしゃーい!」
「「「「「こんにちは!」」」」」
少し体の大きくなったケントちゃんが、満面の笑みで挨拶してくれました。
直ぐに他の人たちと挨拶もしているし、頑張ってお兄ちゃんしていますね。
「トリアさんも久しぶりですね」
「スーさんも、お元気そうで何よりです」
トリアさんがケントちゃんの側にいて、スーとにこやかな挨拶をしていました。
トリアさんも、段々と大人っぽくなってきていますね。
「あのね、僕、お兄ちゃんになったんだよ!」
「「「「「おめでとー!」」」」」
そして、ちびっ子たちはみんなでケントちゃんを祝福していました。
再会して早々、とても微笑ましい光景ですね。
「じゃあ、応接室に案内するよ!」
ケントちゃんが、元気いっぱいに僕たちを先導しています。
きっと、お兄ちゃんになって張り切っているんですね。




