散歩の千九十一話 通信用魔導具の実験?
侯爵領を出発し、僕たちは順調に進んでいます。
一度通ったことのある街道なので、馬も道を分かっています。
でも、流石に面倒くさいからって御者不要って言わないように。
ちゃんとした姿を見せないと、街道をいく人たちにぎょって思われちゃうよ。
「うーんと、これがこれで、あれがあれで……」
「うーん、うーん」
幌馬車内では、今日もシロたちがコタツに入って勉強しています。
おやつというご褒美があるので、みんな一生懸命頑張っていますね。
因みに、王都に残っているジェフちゃんたちも頑張って勉強しているそうです。
通信用魔導具でお互いの進捗状況が分かるから、負けないようにってお互いに張り切っています。
「これはこれで、こっちはこっちで……」
「スーも、遠隔で業務を行うなんて器用なことをしているわね」
「通信用魔導具で公務をするなんて、本当に大変ね」
スーも、コタツに潜りながらあれこれと色々やっていた。
ケーシーさんとテルマさんも、もちろんシャーリーさんやリアーナさんもスーのことを大変そうに見ていた。
あの、僕も御者をしつつ通信用魔導具で仕事をしているんですけど。
幌馬車から聞こえてくる話を聞きつつ、僕はポチポチと通信用魔導具を操作していた。
王太子様も僕に配慮してか業務量は少なかったが、それでも重要な書類の確認も含まれていた。
遠隔で仕事がどこまで出来るかという良い実証実験だと言っていたが、まさか異世界に来てもリモート勤務をするとは思わなかったぞ。
そんなことを思いつつ、休憩場所に到着しました。
「シュンさんなら、そのくらいの業務はこなせると思います。私では、中々難しいと思いますわ」
「そうですわね。シュン様の業務量は、少々おかしいと思わせるものです」
スーだけでなくシャーリーさんにも色々と言われてしまい、他の面々もうんうんと何回も頷いていた。
いかんいかん、このままでは前世のブラック企業に勤めていた状態と一緒になってしまう。
「そうそう、今度通信用魔導具に新しい機能が配信されるって。何でも、音声通信が出来ようになるみたいだよ」
「遠いところにいても直接会話ができるようになるなんて、何だか不思議な感じです」
スーはかなり不思議に思っていたが、どうやら電話みたいな機能だ。
その人の魔力を元に動くそうで、最初に魔力の多い僕やスーで試すそうです。
西の辺境伯領に到着することには、配信準備が出来るそうです。
最初に電話する人が誰なのか、ちょっと楽しみですね。




