散歩の千九十話 侯爵家に寄ります
西の辺境伯領に向かう道中で、重要な中継地点に到着しました。
僕たちは、侯爵領に到着したら早速侯爵様のところに挨拶に行きます。
「「「「「こんにちは!」」」」」
「うむ、元気の良い挨拶で何よりだ」
フランたちの元気の良い挨拶に、侯爵様は相変わらず器の大きさを示していた。
やっぱり、この人は周辺領地の領主とは比べ物にならない人だ。
「侯爵様、先日はご挨拶頂きありがとうございます」
「スーザン様も、元気そうで何よりだ」
スーが代表して挨拶していたけど、新年の際に王族と話をしていたそうです。
きっと、ジェフちゃんも元気よく挨拶していたはずですね。
「シュンは、益々活躍している。後は、いつスーザン様と結婚するかだな」
侯爵様、上機嫌で凄い話をぶち込まないで下さい。
スーは顔を真っ赤にしながら俯いていて、幼馴染のケーシーさんとテルマさんがスーのことをニヤニヤとしながら見ていたのでした。
「では、少し真面目な話をするか。どうやら、あのゲス枢機卿一派は西の辺境伯領で騒動を起こしているという。元々西の辺境伯領は多種族で、人族は少なめだ。なので、元から他の種族に不満を募らせている人族がいるという」
侯爵様の話は、僕も事前に聞いています。
人族を優先しろという人もいたのは確かです。
「とはいえ、西の辺境伯家は色々な種族に配慮した政策を行っています。僕たちがいた時も、人族で不満を持っているものは外から来ているものが大半でした」
「シュン、いいところまで気がついている。他の領地から西の辺境伯領に流れ着いた人族が、主に文句を言っているんだ」
西の辺境伯領は発展著しいので、稼ごうとするものがたくさんやってきている。
そこで住民同士の衝突が起きて、更に人神教に付け込まれているらしい。
「でも、エミリア様が見過ごすはずがないですよね?」
「その通りだ。エミリア様は、産後の運動と称して軍と共に巡回をしている。それに、人族であり元王女様であるエミリア様の影響力は中々大きい」
エミリア様は、間違いなく西の辺境伯家の大黒柱だもんなあ。
先代様と共に、町のために頑張っているのは容易に分かった。
「あと、西の辺境伯様が怖いという人族もいる。確かに、見た目は厳つい冒険者だからな」
侯爵様の物言いに、僕たちも苦笑するばかりだった。
確かに、大型の獣人族だから見た目はかなり派手なんだよね。
実際は、間違いなく西の辺境伯家の中では下位の扱いなんだけど。
その後も侯爵様と色々と話し、屋敷にも泊めてくれた。
王女様を泊めるのは光栄なことだと、快く言ってくれたのだった。




