散歩の千八十六話 頑張った人への美味しいご褒美です
ある意味邪魔者が退散したのもあり、その後の奉仕活動は順調そのものだった。
新しいお友達のカーリー君も、頑張って炊き出しのスープを配っていた。
他の子がカーリー君にあれこれ教えていて、とってもいいことだと思っていた。
そんな中、ジェフちゃんがあることをカーリー君に教えたのだ。
「あのね、後で頑張ったご褒美にシュンお兄ちゃんが美味しいおやつを作ってくれるんだよ!」
「えっと、さっき王妃様とかが食べていたもの?」
「そうだよ! お祖母様も、シュンお兄ちゃんの作るおやつはいつも美味しいって言っているんだ!」
ジェフちゃんの発言に、ちびっ子たちだけでなく普段から手伝いをしている貴族令嬢もうんうんと頷いていた。
あの、流石に王妃様と教皇猊下に出したパンケーキレベルは難しいですよ。
あのパンケーキは、敢えて豪華にしたのですから。
でも、今日のおやつはパンケーキ決定だねと思いながら炊き出しの仕込みを続けていました。
「そうそう、シュンよ。先ほどの馬鹿者は、当分無理に奉仕活動に来ることもないぞ。普通に面接も駄目じゃったので、近習の近習になることもない。会話のキャッチボールもできないようでは、この先まともな人にはならないと警告したのじゃ。まあ、あの母親自身が意思疎通が上手くできないのじゃ」
「先ほど奉仕活動とは何かを、懇切丁寧に教えたのじゃがな。残念だが、奴らは貴族はこうあるべきという凝り固まった考え方がある。水と油みたいなものだぞ」
王妃様と教皇猊下は、僕に先ほど殺気が放たれる前までのことを教えてくれた。
お互いの意見を聞くのではなく、どんな相手だろうが自分の意見を押し付けるのは話が違うと思いますよ。
今までは何とかできたのかもしれないけど、こうして社会一般では通用しないのだから。
問題は、今回これだけ怒られて肝心の当人が反省したかどうかですね。
さて、ご褒美の準備もできたのでみんなに声をかけましょう。
というか、既にみんなワクワクしながら僕のことを見ていますね。
「パンケーキができたから、順番に取りにきてね」
「「「「「わーい!」」」」」
子どもたちは、喜びながらもきちんと一列に並んでいますね。
そして、さっそくみんな一緒に仲良く食べています。
「わあ、とっても美味しい!」
「「「「「美味しい!」」」」」
カーリー君は、とても美味しそうにパンケーキを食べていました。
ちゃんと頑張ったのだから、きちんとご褒美をあげないとね。




