散歩の千七十九話 男の子は仮面接をするに
そして、そのまま騎士団のハンブルク男爵にジェフちゃんの近習候補の応募の件を聞いてみました。
「その、仮に殿下の近習となることができれば大変名誉なことです。しかし、出産を控えてバタバタしており、書類は作っておりますが妻と対応をどうするか決めかねておりました」
ハンブルク男爵の両親は亡くなっており、若くして爵位を継いだ大変さがあるそうです。
しかも、本人は日勤と夜勤が交互にある騎士団勤めです。
出産後も屋敷がバタバタするのは想像に難くなく、確かに判断に迷うよね。
とはいえ、ジェフちゃんたちとも仲良くなっているし、アオのチェックも問題ありません。
ハンブルク男爵自身も、町の巡回とかで普通にシロとアオと仕事をしているもんね。
その間、王妃様は通信用魔導具でどこかに連絡を取っていました。
「ふむ、騎士団長もハンブルク男爵を優秀な人材と評価しておる。明日、勤務前に面接を行うことにする。近習候補としておくだけでも問題はないぞ」
「ご配慮頂き、ありがとうございます」
ということで、面接まで済ませておいて、後は出産後にどうするか再検討することになりました。
王妃様の眼鏡にかなっているだけでも凄いことなんだけどね。
それに、近習候補と近習候補の候補とでは、ジェフちゃんへの接し方を含め決定的に色々なことが違うもんね。
「僕もね、マリアちゃんが産まれてお兄ちゃんになったんだよ!」
「リルムちゃんがお家にいるけど、とっても可愛いんだよ」
「そ、そうなんですね」
ジェフちゃんたちは、男の子がもうすぐお兄ちゃんになると聞いてとても盛り上がっていました。
そして、男の子も年齢の割にはとても丁寧な言葉遣いをしていますね。
盛り上がっているちびっ子たちに、簡単にこの後の流れを説明しましょう。
「ジェフちゃんたちとお友達になったみたいだけど、一緒に勉強するかどうかは赤ちゃんが産まれてから決めることになったよ。だから、みんなも元気な赤ちゃんが産まれるように応援してあげてね」
「「「「「はーい!」」」」」
ちびっ子たちにとって赤ちゃんの存在は身近なものだから、直ぐに状況を把握していました。
場合によっては、アオが出産に立ち会ってもいいと言っています。
この世界では出産は命懸けなんだけど、何となく大丈夫な気がしました。
そして、男の子に元気な赤ちゃんが産まれればいいねと、ちびっ子たちはまた盛り上がっていたのでした。




