散歩の千七十二話 治療と新たな同行者
伯爵が母親の部屋を案内してくれることになり、そのままついで行きます。
最初に、伯爵だけ部屋に入って母親に事情を説明することになりました。
ガチャ。
「な、何とか母に説明出来ました。皆さま、どうぞ中にお入り下さい」
伯爵は、少し苦笑いしながらも僕たちを部屋の中に招いてくれた。
ベッドには初老の女性がおり、僕たちを見てかなり驚いていた。
そりゃ、本当に王女様が治療に来るとは思わないよね。
「先代夫人様、冒険者として依頼を受けたスーザンです。さっそく、治療を行います」
「はっ、はい! どど、どうぞ」
うーん、先代夫人様はスーを見てかなりびっくりしていますね。
とはいえ、病人なのは間違いないのでさっそく治療しましょう。
ここはということで、スーが先代夫人の側に行った。
シュイン、ぴかー。
「はい、これでだいぶ良くなったはずですよ」
「こ、これは凄い。体が一気に軽くなりましたわ……」
スーの治療を受けた先代夫人は、自分の手をまじまじと見ていた。
そこまで悪い状況ではなかったので、治療自体はとても簡単に終わった。
そして、スーはそのまま先代夫人と談笑を始めた。
「先代夫人様を治療していた教会の方ですが、現在は無事に活動に復帰されております。後で、とても良く治療をしてくれていたと伝えておきますわ」
「わざわざ申し訳ありません。あの方は、ちょっとした談笑にも応じてくれてとても良くしてくれたのです。それが、酷いことで活動できなくなったと知って、教会を信じられなくなってしまいまして……」
先代夫人の気持ちも、僕たちは良く分かります。
それだけ、ゲス枢機卿一派が起こした事件の影響が大きいんですね。
その後は、シロたちも先代夫人と話をして伯爵家での治療を終えました。
先代夫人も、シロたちと話しながらとても良い笑顔をしていました。
そして、一度冒険者ギルドに向かうことにしました。
というのも、もしかしたら今日治療依頼を受けたのは全部シャーリーさん絡みなのかもしれないと思ったのです。
「確かに、全てシャーリーさん絡みの案件ですね。私たちも、そこまで確認ができておりませんでした」
受付のお姉さんも、僕たちの話を聞いて改めて依頼書を確認していました。
とはいえ、普通はそこまで細かいところまで確認はしないですね。
話も見えたので、今度は冒険者ギルドから大教会に向かいました。
もちろん、あの方に会うためです。
「間違いなく、私が治療していた方々です。そんなことになっていたのですね……」
ちょうど奉仕活動を終えたシャーリーさんに話をすると、少し嬉しそうに話を聞いていました。
伯爵家の先代夫人が、シャーリーさんのことを良いと言っていたもんね。
すると、この方がシャーリーさんにあることを指示しました。
「シャーリーよ、キリがいいのでこのままスーザン殿下とともに治療に行ってくるが良い。教会の恥の始末を、そなたに対応することになるがな」
「その、私の父が起こしたことでもあります。私が説明しないとなりません」
ということで、教皇猊下からの指示もありシャーリーさんも僕たちの治療に同行することになりました。
シャーリーさんはシスター服のままだけど、特に問題ないですね。




