散歩の千六十三話 ちびっ子たちは勉強がお仕事です
でも、残念ながらちびっ子たちのお仕事は決まっています。
「じゃあ、みんなはいつも通りお勉強ね。新しい子が入ってくるのだから、みんなも負けないように頑張らないとね」
「「「「「えー!?」」」」」
どうやら、ちびっ子たちは今日の勉強は回避できると思っていたみたいです。
いつもとは勉強する量を減らすけど、勉強する習慣を継続するのがとても大切です。
レンちゃんも四歳になるし、頑張って書き取りの勉強をしないとね。
ということで、僕は王太子様の執務室に向かい、スーは公務を行います。
シロも今日は勉強だと知ると、思わずガクリとしていました。
「こればかりは仕方ない。ジェフも他の子も、いまは勉強するのが仕事だ。学問以外も勉強しないとならないが、基礎となる知識がないと意味がない」
王太子様にちびっ子たちの様子を伝えると、思わず苦笑していました。
今年は色々な施設への見学も行う予定だから、その前に色々な知識を身に付けないといけません。
とはいえ、まだジェフちゃんも七歳なのだから、無茶をしないように気を付けています。
「その辺りは、あの家庭教師二人もよく分かっている。最近は、二人の手腕を学びにアカデミーの若者も学んでいる」
家庭教師のデンバーさんとマーナさんの手腕はとても優れているし、アカデミーでも教育の学問の参考にしているそうです。
新しい子が増えるのは確実だし、教える手が増えるのは良いことだと思います。
もちろん、アカデミーの若者が問題ないかキチンとチェックしています。
僕も、勉強しているちびっ子に負けないように頑張って新年最初の業務を終えました。
「そうですか。色々と配慮頂きありがとうございます」
「あうあう」
その日の業務が終わり、みんなで屋敷に戻ります。
謁見で決まったことを、ルーシーさんとリリスちゃんに伝えました。
リリスちゃんの身分が保証され、ルーシーさんもホッと胸を撫で下ろしていました。
よく考えるとガイちゃんも貴族の血を引いているけど、ガイちゃんの場合は貴族が処分された後に保護されたからタイミングが違うんだよね。
とはいえ、ガイちゃんなら独力で何かしらの地位を得る気がします。
「私は、暫く新年の公務が続きます。明日は、念の為にアオちゃんと一緒に動きます」
スーは、育児休暇中の王太子妃様に代わって色々な公務を行っています。
新年になったから、特に忙しいのでしょう。
町の巡回に行くうちの馬は、御者なしでも問題ないもんね。
「ねえ、シロはスーお姉ちゃんと一緒に行くの?」
「シロちゃんはお勉強よ。お義母様からも言われているわ」
「がーん……」
シロはたまにスーの護衛を兼ねて一緒に動くことがあるけど、今回は残念ながら不要だそうです。
シロはズーンと落ち込んでいるけど、王妃様の命を覆すのは無理でしょうね。