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散歩の千六十一話 ガード君が名誉男爵に

 悔しがっているものは放っておいて、ここからはガード君の晴れ舞台です。


「それでは、ガードは前へ」

「はい!」


 王太子様に元気よく返事をしたガード君は、僕たちよりも一歩前に進み出します。

 そして、膝をついて顔を上げました。

 うん、キチンと練習通りに出来ていますね。

 王太子様も、満足そうにしながら頷いています。


「先に報告したデヨーク伯爵が起こした爆発未遂事件の際に、ガードは幼いながら身を挺して王妃、教皇猊下、並びに王子であるジェフだけでなく、多くのものの身を守った。その勇気ある行動は、現場にいた王妃や教皇猊下も高く評価した。よって、ガードには名誉男爵を授ける」

「ありがとうございます」


 王太子様の報告に、ガード君に向けて多くの拍手が送られていました。

 もちろん、王妃様やジェフちゃんもにこやかに拍手をしています。

 そして、先程人事関連の贈収賄で罪状が言い渡された貴族は、僕と繋がりのあるガード君の受賞を邪魔しようとしようとしても全く動けません。

 自身が罰を受けていることに加えて、ガード君の行動は紛れもなく本当のことだからです。

 奉仕活動の現場にいた貴族令嬢やシスターにより、ガード君の勇気ある行動は尊い美談として王都中に広まったのです。

 その中には、刑罰で捕まった父親とは全く違うという評価もありました。

 何よりも、ガード君を攻撃した時点で助けられた王家と教会を敵に回すことになります。


「また、事前に書面にて通告しているが、孫の近習候補を募集する。しかし、罪を犯したものは応募することすら禁ずる」

「「「ぐっ……」」」


 新年関連の書類とともに、ジェフちゃんのお友達候補の応募書類も配っています。

 贈収賄の罪の貴族は、応募不可でかなり悔しそうにしていますね。

 自業自得だから、何も言えないけど。


「ガードはまだ幼いながらも、父親と違うことが証明されたことになる。有望な若者を見出だせて、余も満足だ。これで、謁見を終了とする。この後は、通年通り国民への顔見せを行う」


 もう一度僕たちは臣下の礼をし、王家の方々は退場していきました。

 すると、さっそく僕たちを睨んでいた貴族が再びかなり悔しそうな表情で僕たちを睨んでいます。

 だけど、残念ながらそこまででした。


 ザッザッ。


「贈収賄という大罪を犯したものを捕らえよ! 厳しく尋問するのだ!」

「「「はっ」」」

「「「ちょ、ちょー!」」」


 トーリー様の命を受けた近衛騎士が、贈収賄をした貴族を拘束して連行していきました。

 その他にも、罪状を告げられた貴族が拘束されていきます。

 近衛騎士の早業に、貴族は抵抗する間もなく連れて行かれました。


「ガード君、おめでとー!」

「あ、ありがとうございます……」


 その間、ガード君はシロから熱烈なお祝いを受けていました。

 顔見知りの貴族からも祝福を受けていて、その貴族が壁になって連行される様子を見せませんでした。

 小さい子に見せなくてもいい、大人の醜態だもんね。

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