散歩の千六十話 謁見での処分通達
聖教皇国に行く前に再度謁見が行われるので、詳細はその時に話されます。
では、今度は処分に関する報告です。
王太子様が、書類を手にしながら一歩前に出ました。
「それでは、貴族の処分について報告する。大教会で行われた年末の奉仕活動にて、あろうことか幼い子どもを利用した爆破テロ未遂が行われた。事件を主導したデヨーク伯爵家は、貴族以前に人として問題があると言えよう。デヨーク伯爵家は取り潰し、主犯の先代夫人並びに当主は死刑とする、伯爵夫人、嫡男、令嬢は無期の重犯罪者向けの強制労働刑とする」
取り潰しは既定路線として、一度に二人も死刑が出たのがとても大きな反響を呼んだ。
無期の強制労働刑になった三人も、間違いなく数年持つことはないでしょう。
実質的な死刑と言えます。
更に、デヨーク伯爵家の親類で資金提供などをしていたものがいて、相応の罰を受けることになりました。
なお、ルーシーさんの赤ちゃんのリリスちゃんは、予定通り貴族の身分を得たままになります。
「続いて、ホルツ子爵が引き起こした事件に関与したものへの処分を言い渡す」
違法賭博に関与した上に様々な事件を引き起こしたホルツ子爵と手を組んでいたものがおり、こちらも罪に応じた罰を受けることになります。
楽して甘い汁を吸おうとした報いを受けることになるけど、同情する欠片もありません。
更に、処分の通達が続きます。
「王城内の内部監査を行ったところ、贈収賄をしていたものがいた。金品を使い、実力以上の地位を得ようと企んでいた。人事担当の官僚は、既に捕縛し尋問を行っている。現時点で判明している貴族家へ、まさにいま強制捜査を行っている。それでは、対象の貴族家を発表する」
「「「なっ!?」」」
さっき謁見が始まる前に僕を睨んでいた貴族たちが、驚愕の声を上げていました。
何故かまたもや僕のことを睨んでいるけど、やっぱりというか馬鹿なことをしていましたね。
実は、この件は僕も捜査に関与していました。
というのも、提出された人事案に違和感を感じ、王太子様と共に調査をしていました。
手が空いた時にアオに人事課に侵入してもらい、情報を集めていました。
普通なら賄賂をもらったのだから黙っていればいいものを、その人事担当は休憩室でペラペラと独り言を言っていたそうです。
後は、人事課に突入して証拠を抑えれば完了です。
因みに、他の人事課の人に不正はありませんでした。