散歩の千四十七話 赤ちゃんの母親の様子を様子を見に行きます
翌朝、僕たちは王城に行く前に保護した赤ちゃんと一緒に大教会の治療施設に向かいます。
赤ちゃんの母親の治療も兼ねて、赤ちゃんを見せるためです。
みんな、とってもワクワクしながら馬車に乗り込みました。
「うにゅにゅ」
「「「赤ちゃん元気だね!」」」
赤ちゃんはバスケットの中で手足をバタバタさせていて、とっても元気よく動いています。
シロたちも、赤ちゃんのあどけない動きに思わずニンマリです。
僕たちを乗せた馬車は直ぐに大教会に到着し、スーが赤ちゃんのいるバスケットを手にして降りました。
「あうあう」
「ふふ、本当に元気よく動いています」
治療施設の個室部屋に入り、ちょうど起きていた悪魔族の女性に赤ちゃんを抱かせます。
そして、女性は赤ちゃんを抱いたまま僕たちに深く頭を下げました。
「皆様には、本当に感謝しかありません。私の命だけでなく、娘の命も助けて頂いたなんて」
「私たちは、当然のことをしただけですのでお気になさらずに」
スーの言う通り、僕たちは目の前の困っている人を治療しただけだもんね。
そして、悪魔族のお姉さんことルーシーさんに僕たちはあることをお願いしました。
「ルーシーさん、娘さんの名前をつけてあげて下さい。経緯はどうであれ、ルーシーさんの娘には違いありません」
「そう、ですね。私も思うところはありますが、この子に罪はありません。ゆっくりと名前を考えたいと思います」
ルーシーさんは赤ちゃんをバスケットに戻し、そして少し考え込んでいました。
とはいえルーシーさんの体調はまだ戻っていないので、ゆっくり休んでもらう必要があります。
「僕の屋敷から、赤ちゃんのお世話をする使用人を連れてきました。徐々にですが、赤ちゃんのお世話の仕方を覚えていきましょう」
「何から何まで、本当にありがとうございます」
ルーシーさんは、再び僕たちに頭を下げました。
使用人を派遣する件は、昨日のうちに教会と相談しておきました。
ちなみに、教会も万が一赤ちゃんを保護した時のために、今日は数人のシスターもルーシーさんの部屋に向かうそうです。
さて、僕たちは王城に向かわないとね。
「また、帰りに寄りますね」
「「「ばいばーい」」」
ルーシーさんたちに挨拶をして、僕たちは個室部屋を後にしました。
ルーシーさんに治療はもう不要だけど、何よりも体力を取り戻さないといけないね。




