散歩の千四十四話 大量の証拠品を押収します
ドサッ、ドサッ。
「王妃様、ドンドンと証拠品が見つかりますね……」
「ご丁寧に、全部残っておるのう。バレないように処分するということなど、思いつかないじゃろう」
兵が探し出した証拠品の数々に、僕だけでなく王妃様も呆れる状況です。
アオや僕たちの捜索など、全く必要ないレベルですね。
そして、直ぐに証拠品の分析に入ります。
「複数の犯罪組織との取引記録があります。しかも、何を購入したかの記録もありますね」
「傘下の商会も怪しいのう。調査を入れなければならぬ」
怪しいところが何箇所も見つかり、直ぐに王妃様が各所に連絡していました。
そして、これまた直ぐにアオが押収品をアイテムボックスに入れて若馬に乗って騎士団の施設に運んでいました。
連行するものもかなり多く、使用人が二割以下しか残らないことを考えると屋敷の運営もまともにできないでしょう。
そもそも、貴族家として残れるかどうかのレベルだけど。
執務室内の捜索が一段落したところで、今度は玄関ホールに移動します。
各部屋から押収されたものを、玄関ホールに集めているからです。
ドサッ、ドサッ。
「「……」」
僕と王妃様は、思わず閉口してしまいました。
玄関ホールに並べられていたのは、大量の金品や宝石類でした。
どれだけ贅沢な生活をしていたのかと、呆れてしまいます。
簡単に鑑定を進めるけど、全部まともな方法で得たものではありません。
うん、全部押収ですね。
屋敷に戻ってきたアオも、大量の金品や宝石を見てびっくりしていました。
アオは、再びアイテムボックスに大量の金品などを入れて騎士団の施設に運んで行きました。
「王妃様、この後はどうしましょうか?」
「押収が落ち着いたところで、一旦大教会に戻るとしよう。犯罪組織への対応は、軍にお任せじゃ」
僕も王妃様も、体力的よりも精神的に疲れちゃいました。
久々に相手をした。本当に馬鹿な相手でした。
その後、アオが三回騎士団の施設に押収したものを運んで強制捜査は完了です。
後を軍に任せ、僕、王妃様、アオ、若馬は大教会に戻りました。
「お祖母様、お帰りなさい!」
「うむ、帰ったのじゃ。ジェフは頑張っておったか?」
「頑張って、赤ちゃんとみんなを守ったよ!」
大教会の中に入ると、ニコニコのジェフちゃんをはじめとするちびっ子たちが出迎えてくれました。
保護した赤ちゃんだけでなく、ガイちゃん、ブレアちゃんもお昼寝タイムに入っていて、落ち着いた護衛みたいですね。
「シュンさん、治療施設に運ばれた赤ちゃんの母親を治療しました。数日間は安静にしないといけませんが、もう大丈夫です」
スーが治療の様子を教えてくれ、僕も王妃様もホッと胸を撫で下ろしました。
赤ちゃんとも対面を果たしていて、初乳も上げられたそうです。
いずれにせよ、母親の体調が戻るまでは僕たちが赤ちゃんの面倒を見ないといけないね。




