散歩の千三十八話 犯人発覚
僕も、広範囲探索魔法で怪しいと感じた人物のいる位置を兵に伝えます。
アオが周囲の捜索のために若馬に乗ったのもあり、コリーナちゃんとレンちゃんは治療班のところに移動しました。
「はい、どうぞ。熱いので気を付けて下さいね」
その間も、奉仕活動は続いていました。
シャーリーさんが笑顔で町の人に炊き出しのスープを配っているけど、さっきの爆発で実被害が起きたわけじゃないもんね。
うちの馬に乗ったシロとノア君も、捜索範囲を広げています。
ザッ、ザッ。
そして、軍が大勢の兵を引き連れて大教会の前にやってきました。
一人の兵が、馬から降りて王妃様のところに向かいました。
「報告いたします。追加兵到着いたしました」
「うむ、ご苦労じゃ。直ぐに、周囲に潜んでいる不審者の捜索と住民警護を開始するのじゃ」
「畏まりました」
流石は王妃様です。
捜査だけでなく、住民の保護も考えています。
炊き出しの列に並んでいる人たちも、周囲を警備する兵が増えて安心ですね。
そして、王家を警備する兵も増員しました。
そんな中、一つの情報が王妃様の通信用魔導具でもたらされたのです。
「王妃様、シロが捕えた不審者を騎士団の施設で聴取したところ、デヨーク伯爵の関係者であることが判明しました。更に、子どもに爆発物を渡したと供述しているそうです」
「動機はともかく、これであのハゲ狸の首根っこを掴めるのじゃ。シュン、行くぞ!」
王妃様は激怒モードで、僕でもスーでも止めるのは難しそうです。
取り急ぎ、僕は赤ちゃんとブレアちゃんをべリアさんに渡します。
すると、トトトってジェフちゃんが王妃様に歩み寄ったのです。
「お祖母様、悪者をやっつけてね!」
「うむ、妾に任せるのじゃ」
ジェフちゃんの声援に、王妃様のやる気は益々上がっちゃいました。
そして、僕も王妃様の命令を断るのは不可能です。
「ジェフちゃんたちは、赤ちゃんを守ってあげてね」
「僕に任せて!」
ジェフちゃんたちが興奮しないように、やる気の出る役目をあげます。
バスケットに入った赤ちゃんはべリアさんとシスターが面倒をみているけど、ちびっ子たちも頑張りたいもんね。
「スー、当分の間奉仕活動を頼むよ」
「こちらは任せて下さい。シュンさんも、お仕事頑張って下さいね」
僕も、スーに声をかけて馬に乗り込みます。
リアーナさんを始めとする多くの貴族令嬢もいるし、きっとこの場は大丈夫だとおもいます。
というか、王妃様も馬に乗って真っ先に駆け出しちゃったので、僕も急いで追いかけないと。




